鎌倉朝日新聞 (10月1日号 2020年 第499号)

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富士山の田んぼアートと稲小児童=9月4日

田んぼアートに初挑戦

稲村ケ崎小の5年生

鎌倉市立稲村ケ崎小学校の5年生は総合学習の一環で、毎年稲作を行っているが、今年は田んぼアートに挑戦した。 田んぼアートは田んぼをキャンバスにみたてて、色の異なる稲を使って巨大な絵や文字を描き出す。前教育長で元稲村ケ崎小学校校長の安良岡靖史さんの提案で、安良岡さんの郷里の栃木県の小山市立寒川小学校が取り組んでいる田んぼアートを行うことを決めた。 白い雪をかぶった富士山の左に赤い太陽、下に2020の文字の図案は子どもたちが考えた。栃木県の土地改良事業団体「水土里ネット思川西部」から古代米の種の提供を受け、教員が発芽させた「べにあそび(赤)」「「ゆきあそび(白)」「むらさき米(黒)」「みどり米(緑)」の苗を、子どもたちが植えた。6月、分散登校が始まったなかで8㍍四方の田んぼに植え付けた。残りの部分にはいつものようにもち米を植えた。 夏休みを終えた9月4日、草丈が30㎝ほどにのびて、稲穂もついた田んぼに子どもたちがかかしを立てに訪れた。かかしは子どもたちがグループごとに作成。シャツ姿で麦わら帽子をかぶり、スズメよけにキラキラ光るサングラスをつけていたり、首からCDをぶら下げていたり、それぞれが工夫を凝らしたかかしが6体、あぜ道に立てられた。「田んぼアートはこんなときだからこそ、みんなで力をあわせて作った」と話す小林くん(11)。 同校の米作りは、15年ほど前、地域の人から譲り受けた約540平方mの田んぼを田んぼとして使えるようにすることから始まった。教員だけでなく、地域の人たちの協力があり、児童と保護者、地域の人たちと毎年米作りをしていくうち、始めは5㌔しかとれなかった米が今では100㎏以上も収穫できるようになった。秋には5年生が稲刈りをした稲を4年生が運び、作業に関わっていく。そして例年、1月の餅つきは、全校児童と保護者、地域の人たちが参加し、運動会以上の盛り上がりをみせる。 礒部久仁子校長は「四季を感じながら、一つ一つ手作業で行ってきた米作りで、子どもたちが一粒の大切さを実感し、関わってくださる人たちに感謝の気持ち、地域とのつながりを感じてほしい」といい、「コロナの影響で、今回、餅つきをどのように行うかは検討課題」と話していた。



創刊500号記念 投稿募集

感想・思い出・未来へのメッセージなど

鎌倉朝日新聞は、2020年11月号で、500号を迎えます。1979年(昭和54)4月の創刊以来40余年、毎月1回、地元の情報紙として話題を提供してきました。500号を記念して、読者の皆様から感想や、記事・連載ものとの関わり、思い出、後進へのメッセージなど、投稿を募集し、掲載します。応募要領は次のとおりです。
◆500字程度。住所、年齢、職業、電話番号を記入し、1面題字下住所の鎌倉朝日へ。趣旨は変えずに直すことがあります。原稿は返却しません。


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鎌倉みほとけ紀行(105)

浄光明寺・北条長時坐像

鎌倉・扇ガ谷の支谷、泉ケ谷に位置する浄光明寺。とても静かで雄大な伽藍をもつお寺です。萩の花が咲き始めたよき日、久しぶりに訪ねました。 浄光明寺は北条時頼と北条長時の発願による創建であり、以来、北条長時から始まる赤橋流北条氏の菩提所となりました。開山は眞阿(しんあ)上人(しょうにん)(眞(しん)聖(しょう)国師(こくし))で泉涌寺の流れを汲む諸宗兼学(真言、天台、浄土、華厳、禅、律などの複数の宗派を学ぶ)の道場であり、当時は各宗の僧や学者文人が集い大いに学んだそうです。 そして開基の一人こそ鎌倉幕府六代執権、北条長時であり、今号の御仏は北条長時僧形の坐像であります。 康元元年(1256)11月、5代執権北条時頼は病にかかります。そしてついに執権職を長時に譲ります。本来なら時頼の嫡子「時宗」に譲るべきであったがまだ6歳であったことから「眼代(がんだい)」(代理人)として長時にしばらく譲ったといわれます。まさに中継ぎのような存在で、実権は時頼が握っていたようですが、長時が選ばれたのはそれだけの理由ではなく、選ばれるべき人徳があったようです。長時は、時頼を長年補佐した重時の次男であり、権力欲が少なく、着実に事務処理ができる人物であったそうです。 (『北条時頼』高橋慎一朗著 参照)。 この僧形の木像を拝していると長時の眼の先にある北条一門の安泰と天下の安寧を見守っておられるようないきいきとした表情がありました。両手を胸前で両袖の中に入れておられるのは真言密教の作法による形であるそうです。 諸宗兼学というアカデミックな精神は、今なお現住職に受け継がれ、学者としても活躍され、大いにその宗風を宣揚しておられます。 寄木造、玉眼、彩色。像高50㎝。頭部前面のみ南北朝時代頃、残りは室町時代の後補。
阿弥陀堂・収蔵庫の拝観は木曜・土日祝日の午前10時~午後4時。雨天は中止。


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六代御前墓

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桜山山之神社
(★印がパワースポット)

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六代御前墓と桜山山之神

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社のパワースポット地図
(★印がパワースポット)

かまくらの不思議を歩こう(37)

桜山のパワー地図  大貫昭彦

*六代御前最期の地 桜山は逗子市と葉山町の境にある山並みです。桜の木が多いことから名がついたといわれます。この桜を瑞泉寺の開山の夢窓疎石禅師が吉野に移したのが一目千本桜になったという話があります。桜山に並行して鎌倉の内と外を分ける田越川が流れています。川沿いには処刑場跡がいくつもあります。平家の直系最後の人といわれる六代御前もここで命を絶たれました。六代は、平家繁栄の扉を開いた清盛の祖父正盛から数えて6代目の人で、一度は頼朝の恩情で生き延びましたが、頼朝が亡くなるとこのほとりで処刑されました。26歳の頃といわれます。
*お墓の爽快感 墓は田越橋を渡って右へ4、5分行った所にあります。まず目を奪うのは、石垣の上の大ケヤキです。墓は、この木に抱かれるように立っています。大根会一行も、急な石段に息を切らして墓を目指しました。しかし、反応は一様にさわやかでした。石段の途中で、「風の香りがいい。新緑の季節ではないのに、緑の匂いがする」など、上るにつれて爽快感が増すようです。音がしたという人もいます。霊域の結界を示す音のようです。
*六代御前のパワー 上りきると、逗子一望の景色が広がります。逗子湾、その向こうに小坪、披露山、久木、池子の丘陵が巡り、息を切らした苦労は十分に報われます。 いつも霊感の鋭い30代の女性は、お墓の前のエネルギーが一番強く、気分もよくなると満足気でした。会の皆さん譲り合いながらスポットで手を合わせました。
*大根師の感想 リーダーの大根師は「処刑された人のお墓なのに穏やかな雰囲気に包まれているのが不思議だ」と首を傾げ、続けて「六代御前は怨みを持っていないようだ。一族の滅亡を受け入れたのだろう。僧侶でもあったから、長く引きずることをしなかったのではないか。おかげで平家は、今も繁栄しているね」と、自ら納得した様子でした。
*桜山山之(やまの)神社(かみしゃ) 六代のお参りを済ませて、桜山山之神社に向かいました。田越川に沿って北へ。田越橋、石渡家の前を過ぎると、宗泰寺があります。鎌倉の円応寺の像に似た閻魔十王を祀るお寺として知られています。山之神社は、境内右手の高台にあります。山之神社は山村の神ですが、柳田國男説によると、初めは地元の英雄の霊と降臨した天津神を祀る神社だったようです。人は安全と豊作、繁栄発展を神宿る山に祈っていた。しかし、林業と農業が分業化されると、神は山と平野に分かれることになった。山之神社の50~60m東に子之神社があります。子はねずみ、大黒天のお使い。主として農業や商業の福神です。昔、石渡家の向かいは船着場だったそうです。桜山でも山の神が山仕事、子の神が農業や漁業、運輸業などを守ってきたのでしょう。
*桜山の伊勢神宮 山之神社はパワーも強く、大根会の皆さんが示したのは4箇所でした。社殿前の2カ所、社殿に向かって左の石祠と社殿裏の石祠の2カ所です。この社に祀られている神の名ははっきりしませんが、大根師は左の祠はアメノウズメノミコト、裏の祠はアマテラスオオミカミに違いないと言われました。するとこの社は、伊勢神宮でもあり、桜山の優れた先祖神を祭る社でもあると考えられます。


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コロナ対策基金10万円

観光協会が納涼うちわ収益金を寄付

鎌倉市観光協会(大森道明会長)が8月28日鎌倉市役所を訪れ、納涼うちわの収益金から10万円を寄付した=写真。 同観光協会が、今年の納涼うちわの裏面に建長寺派管長・吉田正道さんが揮毫した特別仕様を1本500円で1200本販売した。1200本は完売している。 うちわは、洋画家・濱岡朝子さんが「花づくし」の題で描いた色鮮やかな夏の花の裏面に吉田管長が「無限清風」と書いた。「建長寺の門は全ての人に開き放たれ、限り無い清風が吹き来って尽きることはないという意味」という。7月の豪雨で被害をうけた熊本県人吉市にも100本届けている。


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小田さんの朗読

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800回記念朗読会のメンバー

建長寺 親と子の朗読会800回

コロナ禍で静かに開催

800回記念の「建長寺 親と子の土曜朗読会」が9月12日、北鎌倉の建長寺で行われ、約50人が参加した=写真。 NPO法人「日本語の美しさを伝える会」(伊藤玄二郎理事長)が、建長寺の協力で2005年から毎週土曜日に行っている朗読会で、今年は新型コロナウイルスの影響で3月から6月まで休会し、7月から再開した。 節目に「自作を語る」という企画でこれまでやなせたかしさん、井上ひさしさん、角野栄子さんらの作家をゲストに迎え、交流している。 今回は5歳のときからこの会に参加したという若林真実さん(高校1年)、音楽家・倉本洋子さん、古事記朗誦家・大小田さくら子さんが歌詞や、ヴェルレーヌの詩などのほか、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」を朗読した。コロナ禍のなかでの開催とあって、人数制限をして広間に間隔をとって着席、時間も1時間に限定された。参加者は静かに朗読に聞き入った。 若林さんは「心をこめて読めるよう練習した。朗読のおかげで本が好きになった」と話していた。 朗読後、伊藤理事長は、芥川が鎌倉で新婚時代に「蜘蛛の糸」を書いたことを解説し、「最低100回はと思っていたが、いつのまにか800回。千回まで行くだろうか。一回一回を着実に行っていきたい」と会の成長ぶりに目を細めた。


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大三輪住職(右)と西松さんのぼんぼり

ぬり絵でぼんぼり祭

浄光明寺山門で地元住民ら

「ぬり絵でぼんぼり祭」が8月29、30の両日浄光明寺山門前で行われた=写真。 夏休みの子どもたちを楽しませようと鎌倉市扇ガ谷の泉ガ谷自治会主催で18年ほど前から行われている。例年たくさんのぼんぼりが門前に並び、夕方になると灯りが灯され、露店もでて、近所の人たちが夕涼みがてら訪れる。 今年は、コロナ禍で密をさけるため、ぼんぼりの掲揚はひかえ、浄光明寺の大三輪龍哉住職と地元の墨彩画家・西松凌波さんの2点のみが山門に飾られた。自治会役員のアイデアで13㎝×18㎝の紙に「あまびえ」を画いたぬり絵を町内に配ったところ、25点が集まり、それをラミネート加工して、山門周辺にぶら下げた。同会の加藤佐紀子会長は、「久しぶりに色鉛筆を使った。色を考えるのが楽しいと大人にも案外好評だった」と話す。 強い日差しの下、秋の訪れを感じさせる風が山門を吹き抜け、蝉しぐれと風鈴の音が混ざり合うなか、訪れた人たちは静かにぼんぼりとぬり絵をながめていた。 大三輪住職は「早くもとのにぎわいがもどってほしい」と語った。


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貼り紙も落書きのうち。見つけたらはがす

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道具を積み込んだ自転車で活動する髙田さん

地域環境美化功績者を受賞

鎌倉を美しくする会

環境省が毎年6月の環境月間に合わせて環境保全、地域環境美化に関して顕著な功績があった者(又は団体)を称える表彰に、鎌倉市の市民団体「鎌倉を美しくする会」が選ばれ、「地域環境美化功績者」表彰を受けた。今年度の受賞は121件(36人、85団体)。 「鎌倉を美しくする会」(髙田晶子代表・会員約20人)は1988年に発足し、公衆トイレの美化、散乱ごみの防止、違反屋外広告物の除却、違反ベンチ除去などを行ってきた。2000年ごろから鎌倉にも拡がってきた落書き防止に関する取組みを開始した。鎌倉市は2005年に落書き防止条例を制定。同会は市との協働事業で落書きの防止と消去に取り組んでいる。 高田さん(84)は、2009年から毎月落書きの件数を集計して市と県に報告する一方、落書きの通報を受けると、消去剤などの用具が積み込まれた自転車に乗って消しに行く。「見つけたらすぐ消すのが再発防止に一番効果的。だから見つけてくれる人を増やすことも肝心」と話す。2019年の被害件数は大幅に減ってきている。


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下から朱美、お通、お杉婆=吉川英治歴史時代文庫『宮本武蔵五』(講談社)

文学つれづれ(184)

吉川英治『宮本武蔵』(十) 赤羽根龍夫

吉岡一門との死闘の後、比叡山に逃れた吉川「武蔵」は宿坊で傷ついた身体を休めながら、下り松で殺害した又七郎の供養のために仏像を彫っていた。 しかし武蔵を息子・又八の仇とつけ狙うお杉婆の讒言(ざんげん)を真に受けた比叡山の門徒は武蔵に下山を迫った。武蔵は足をくじいたお杉婆をつれて比叡を離れた。途中、お通に手紙を出す。
花田橋のときは、そなたが待った。こたびは、わたしがそなたを待とう。
武蔵からの初めての手紙に、お通は心を躍らせて武蔵の弟子・城太郎と大津へ向かう街道を急ぐ。武蔵は道すがら茶店で小次郎が自分を讒言するのを聞く。
小次郎も、武蔵が名目人の一少年までも討ったということを、口を極めて、罵倒した。単なる罵倒にとどまらず、これを人道的にみてーまた武士道の上からみて―剣の精神の上からもゆるし難い人間であると断じつける。
小次郎と武蔵は出会いの最初から相手に敵愾(がい)心を抱いていた。
最初の出合は吉岡清十郎が武蔵との決闘を告知する立て札を立てた五条の大橋であった。 関ケ原の落武者であった又八と武蔵を助けたお甲の娘・朱美は恋しい武蔵に会おうと五条大橋にやってきた。 一方、朱美を無理やり自分のものにした小次郎は朱美を追って、大橋の上で武蔵に想いの丈をぶつける武蔵を、敵愾心を持って橋の袂から「白い眼で睨(ね)めつける」。武蔵も小次郎に気が付く。 お互いの「猛獣が猛獣を見るような敵愾心」が、やがて巌流島の戦いと  なって行くと吉川英治は考えている。 その後やっと出会った武蔵とお通は旅を続ける。武蔵は一条寺下り松での決闘の前に見せたお通の全幅の信頼に、お通のどんな願いでも受け入れようとしていた。
剣を、ゆがめない限りのことは。修行の道から堕落しない限りの事は。
お通をつれた道中、武蔵は宿屋や道すがらお通の肉体を意識していた。
或る時は、芙蓉の花のような汗ばんだ皮膚を、或る夜は屏風をへだてていても漂ってくる黒髪のにおいを…
そしてついに武蔵はお通を草むらの中に押し倒す。お通は武蔵の胸の中でもがき、
「いけないッ、いけませんッ、武蔵様ッ
そ、そんなことっ…貴方ともあろうお人が」と悲しげに、彼女が嗚咽(おえつ)したので―武蔵はハッとした。
武蔵は「なななぜだっ?」と呻いて手を離してその場を離れた。 お通はそばの木陰で武蔵が戻ってくるのを狂おしく待った。
何でだ!
やがて武蔵は近くの瀧に打たれていた…
ここで二人が結ばれないことに関しては読者の間で解釈は別れている。 結ばれないことに不自然さを見てお通に歯がゆさを感じる読者が多いようであるが、恋慕の情さえ断ち切って剣の修行に一筋に励む武蔵と、一途に武蔵を慕うお通という吉川英治のテーマからすれば当然のストーリーであろう。 吉川英治の頭には晩年の自戒の句「独行道」の「恋慕の道思いよる心なし」があったのである。 気まずくなったお通は武蔵から離れ城太郎少年を連れて旅を続けるが、かつての許婚である又八に捕まってしまう。又八は自分の意のままにならないお通を縛りあげて引き立てる。 この街道では夢想権之助と仕合をしたり、仙台藩の武士と出会ったり、吉岡一門の門弟に命を狙われたり多くの出合いがある。 (神奈川歯科大名誉教授)


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鎌倉でワイン用ブドウの収穫

元ソムリエの夏目さん

鎌倉市関谷と七里ガ浜の畑でワイン用のブドウの収穫が9月5日と12日に行われ、約500㌔が収穫された。 津西在住の夏目シンゴさん(51)が2014年から栽培を始め、現在、3200㎡の畑に垣根栽培でピノノワール、メルロー、カルベネフラン、シャルドネ、リースリングの5種類、2500本を超える木が栽培されている。 今年は7月の長雨で病気が心配されたが、8月は好天続きで生育が回復し、収穫期を迎えたものの、コロナ禍で昨年のようにボランティアを募集しての摘み取りができず、収穫は夏目さん夫妻と知人で行った。東京都内のワイナリーに持ち込み、アルコール発酵、瓶詰を行い、来年11月に販売を予定している。  夏目さんは、以前ソムリエの仕事をしていて、鎌倉に転居したのをきっかけに何か地域に貢献できることはないかと考え、鎌倉産のワインをつくることを決心した。 庭にブドウの木を5本植えて試験栽培することから始まり、関谷に800㎡の農地を借りて本格的な栽培に着手、さらに1600㎡の森林をユンボを使って地元の人と2人で開墾して畑を増やした。鎌倉市役所の紹介で七里ガ浜にも1000本ほど植えているが、ここでは「ブドウの苗木の会」を発足し、一口1万円で地域に協力求め、40人が会員になった。会員にはワインが2本プレゼントされる。 昨年収穫したブドウがワインとなって今年初めて100本ほど市場にでまわる。夏目さんは「鎌倉は海が近いことで土壌にミネラルが含まれていて、それが独特の味わいになっている」と話す。将来は、市内にワイナリーを設立し、そこで収穫したブドウを醸造し「鎌倉ワイン」として販売するのが夢という。


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歴史的名建築で過ごすひとときを

「葉山加地邸」民泊スタート

葉山の別荘文化を今に残す国の登録有形文化財「加地(かち)邸」(葉山町一色)が10月から民泊を開始する=写真。 同邸は、旧帝国ホテルなどを手掛けた米国の建築家フランク・ロイド・ライトの高弟、遠藤新(あらた)が設計した三井物産重役の加地利夫の別邸(1928年竣工)。地形に合わせた流れるような建築「プレーリースタイル」の外観は背後の三ヶ岡山に溶け込み、外壁や柱に多用された大谷石、水平に伸びる軒などが特徴。建具や家具、照明に至るまで総合的に設計された幾何学的なデザインは現存する遠藤新の住宅作品として最も重要なものという。 往時の文化を宿す別荘が次々と消えていく中、2016年に川崎市の(株)ヨネヤマ(武井雅子取締役)へと引き継がれた。翌年、国登録有形文化財となった同邸を後世に伝えるため、延べ百人の職人が入り昨年11月から遠藤建築への回帰を念頭にしたリノベーションを行った。大きな変更点は女中控室の床を取り払い吹き抜けにした地下のスパや、中央に暖炉を備えたデザインテーブルが印象的なダイニング横の屋外テラスなど。 「デザインと同時に優れた機能が備わる加地邸の魅力や当時のライフスタイルを味わってもらえたら」と話す武井さんは、文化財を守りつつ人々へ伝え、地域にも溶け込めるような方法を今後も模索していくという。 1棟貸し(定員6人)の宿泊は2泊42万9千円~。
問い合わせunico事業部 044・211・1711


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若宮大路にマリーゴールドを植樹

かまくら桜の会

かまくら桜の会(高柳英麿会長)が、9月17日、若宮大路の二の鳥居から下馬四つ角にかけての道沿いの植栽帯にマリーゴールドの花苗1300株の植込みを行った=写真。 マリーゴールドは病害虫や強い日差しの中でも丈夫に育つ。同会が季節ごとに行っている植樹活動の一環で、藤沢土木事務所から提供された苗を、同会会員や周辺事業所の職員ら約30人の協力で植えた。 高柳さんは、「「今後も鎌倉桜の普及を中心にまちの緑化に尽力したい」と話している。



終の棲み家を考える78

値段は正直シリーズ 基礎編

住宅の基礎を見た時、普通は気がつかない事が多いのですが、コンクリート一発仕上げで造られた基礎を見ることがあります。 鉄筋を組み型枠の中にコンクリートを流し込むわけですが、固まってから型枠を外します。一発仕上げとはその状態のまま終わりにする基礎の事です。 昔のような木製の型枠と違い、鋼製の型枠に代わり、寸法精度が上がったこともあって、かなりきれいな表面に仕上がって見えます。 本来はその基礎の外側の部分をモルタルで仕上げるものです。理由は一発仕上げできれいに見えている基礎も気泡の跡など分かりにくい穴があいている場合が多いのです。また工事期間中コンクリートが固まっていく段階で細かなヒビが入ったりすることがあります。固まった基礎の中に雨水などが染み込むと、中の鉄筋を腐らせます。鉄筋が腐ると爆裂して基礎のコンクリートを壊してしまうのです。ですから雨水などの湿気からコンクリートの中の鉄筋を守るために基礎を防水して守っているのです。 全体工事費を安く抑える為とはいえ、お勧めできないコストダウンの一例です。基礎面から赤茶色のシミの様な色が出てきたら、中の鉄筋が錆びている証拠で、月日が経つと基礎に割れが出てきます。
日向建設
鎌倉市大船1―15―3
0467・47・5454
http://www.hyuuga.co.jp/


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「ひと」
鎌倉市商店街連合会会長に就任した

髙木賢一(たかぎけんいち)さん

鎌倉市内にある28の商店会と約2千の事業所を束ねる鎌倉市商店街連合会の会長にこのほど就任した。商店街は飲食を中心にコロナ禍で相当苦しい。「商売をやめるところがないように、一丸となってコロナに対応していきたい」と表情を引き締める。 材木座で鮮魚店「魚賢」を営む。連合会の副会長を10年やってきた。人が集まるところに出向くのが嫌いでない。地元の上河原商工振興会の会長や魚商組合の組合長もつとめる。「あちこち顔をだす性分だから選ばれたのだろうね」と推測する。 実は表に出るのは好きでないと言う。「本当は裏で動くのが好きなのにコロナ危機で表に出てしまった」と苦笑する。 材木座に生まれ育った。高校を出てすぐに店で働き始めた。 「長男で親の面倒を見なければならない立場だったからね」。屋号の中の「賢」は息子に跡を継がせるつもりで父親が入れたという。でも技術は盗むものということで、仕事はさっぱり教えてくれなかった。見よう見まねで始めたため、最初はブリを切り身にするのに上手にさばけず、売り物にならない失敗も。父はそれでも黙って見ていた。 社会や生活スタイルの変化は商店街、商店は大きな影響を与えてきた。「魚賢」も例外でない。小売のシェアは徐々に減り、得意先だった大企業の保養所も姿を消した。いま売り上げの8割は小学校4校と2保育園への給食材料の提供へと変わったが、朝早い電車に乗って横浜中央市場に行って魚を選ぶ長年の生活は変わらない。 しかし、コロナの波はもろにかぶった。学校が休校の2カ月間は給食もなく痛かった。上河原商工振興会が賑わいを演出する五所神社の祭礼も中止になった。 連合会は事務局がしっかりしていて、相談業務、役所への橋渡し、催しものの後援など「安心して任せておける」。ただ会合の集まりは悪かった。互いに顔を知らないといけないと、前会長が商店街の役員らとの懇親会を始めた。この路線は引き継ぐつもりだ。「ワイワイガヤガヤやらなきゃ始まらない」とキッパリ。 妻と娘2人。飲み会のない日は、つまみを自分で作ってビール1本、酒2合の晩酌。
藤沢に住む孫娘2人の顔をみるのが楽しみ。72歳。
(文・写真 三浦準司)


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健康百科通信(132)

自宅で最期まで過ごすということ
  内科医 今井 一登

誰もが長年住んだご自宅にできるだけいたいと願っていると思います。 訪問診療は医師がご自宅などに伺い、診察や薬の処方を行います。 点滴をしたり、薬を使って苦痛をとること(緩和医療)も行います。ご自宅で最期を迎える(在宅看取り)こともできます。ご自宅で何気なく過ごす日々の暮らしが「その人らしい生き方」ではないでしょうか。 ご自宅で亡くなると、その人の気に入っていた服に着替えさせたりします。サラリーマンだった方はご家族が一番本人らしいといってスーツに着替えさせていました。自分で選んだ大島紬(つむぎ)の着物を準備していた方もいました。またパイロットの制服に着替えた男性もいました。皆さん亡くなったはずなのにキラキラと輝いて見えました。 先日ご自宅で看取った方は、お気に入りのアロハを着て、部屋にはハワイアンの曲が流れていました。とても穏やかで満足されたいい顔をされていました。まさにその人らしく人生の終焉を迎え、素晴らしい旅立ちではないでしょうか。

ドクターゴン鎌倉診療所院長
鎌倉市笛田4―25―2 アスクレピオン鎌倉B1・B2
0467・32・5230


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鎌倉市役所の向かい側にある鎌倉商工会議所

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鎌倉商工会議所のコロナ対応を語る

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販売中のオリジナルエコバッグ

コロナ禍のピンチをチャンスに変える支援展開

鎌倉商工会議所

鎌倉市内で商工業を営む約2000企業が加入している鎌倉商工会議所。今年は、社会全体がコロナ禍の大波をかぶる中で、地元企業を守り、ピンチをチャンスに変えるための働きかけを続けてきた。鎌倉商工会議所の波多辺弘三専務理事と斎藤暁課長(経営指導員)に、コロナ対策を中心とした取り組みをうかがった。

市内企業の3割が加入

まず、商工会議所の組織について教えてください。

商工会議所は、商工会議所法に基づく特別認可法人として運営されています。全国には515の商工会議所があり、125万企業が会員になっています。日本には企業が421万あり、このうち30%が商工会議所の会員ということになります。経済界の一大勢力なのです。鎌倉市では、約6000企業のうち2000企業が加入していますので、こちらも組織率30%となります。 鎌倉商工会議所は、会員の中からその代表として議員を選び、さらに役員を決めています。役員議員はボランティアで鎌倉市の地域振興に尽力しています。 現在の鎌倉商工会議所会頭は、豊島屋の久保田陽彦社長が務めています。大企業から個人商店まで、大小問わず幅広い企業が加入しています。

通常はどのような役割を果たしていますか。

地域内の商工業の改善や発展をはかると共に、広く社会一般の福祉の増進を目指しています。地域企業の経営を好転させるための支援が主な役割ですが、地元企業が元気になれば、地元自治体の税収が増えています。それは市民に還元されるので、市民もいろいろなサービスを受けられるようになるのです。ですから、鎌倉市民の皆様にはぜひ、鎌倉市内で買い物をしていただきたいと思います。 鎌倉商工会議所では、行政への意見活動も積極的に行っています。鎌倉市の審議会や委員会に役員が加わり、経済界の意見を反映させています。年初からコロナ禍の影響が出始めた今年は、鎌倉市に家賃補助を働きかけ、実現に至りました。地域の消費の低迷をくい止めるための商品券事業や、企業が支払う固定資産税と都市計画税の減免も、鎌倉商工会議所がいち早く要望しました。神奈川県内14の商工会議所間の横の連携も密で、神奈川県などへの要望活動を行っています。 また、レジ袋が有料化された今年は、ペットボトルの再生材を利用したオリジナルエコバッグを770円(税込)で販売するなど、市民の暮らしに直結した取り組みにも力を入れています。

ソフトウェアや宇宙関連の先端企業も

鎌倉商工会議所の会員構成に目立った特徴はありますか。

鎌倉は観光地として知られていますので、会員企業は観光関連の小売業やサービス業が多いと思われがちですが、実際はあらゆる業種からまんべんなく加入しています。最近注目されるのは、ソフトウェア関連の企業が増えていることです。これは株式会社カヤックの存在が大きく、鎌倉はソフトウェア開発の聖地とされるようになりました。そのため、関連企業が次々と集まってきているのです。こうした新たな産業が鎌倉の経済界によい刺激を与えています。 鎌倉には中小企業だけでなく、大きな工場もあります。三菱電機鎌倉製作所では、人工衛星やその搭載機器の開発、製造などが行われています。長い歴史を背景とした企業からソフトウェアや宇宙開発をリードする企業まで、実に幅広い企業が立地しているのです。

コロナ関連の融資活用で中小企業支援

コロナ禍では、多くの企業が資金繰り悪化などの悪影響を受けました。商工会議所では、以前から小規模事業者を対象とした経営改善貸付(マル経)を行っていますが、この融資制度の利用は急増したのでしょうか。

いえ、通常のマル経はほとんど使われていません。というのは、コロナ禍では経済産業省が事業者支援策を次々と打ち出し、それらを利用する方が有利だったからです。 マル経は日本政策金融公庫の融資制度で、市内で1年以上営業している従業員20人以下の事業所(商業・サービス業は5人以下)が利用できます。融資限度額は2000万円で、返済期間は運転資金が7年以内、設備資金が10年以内。担保も保証人もいらず、信用保証協会の保証も不要で、とても利用しやすくなっています。ですが、経済産業省がコロナ禍で打ち出した支援策は、これ以上に有利だったのです。 私たちが特にお勧めしたのは、日本政策金融公庫による新型コロナウイルス感染症特別貸付です。この特別貸付制度は、売上高が減少した事業者に対して、最長3年分の利子相当額を一括で助成する制度です。借入後、3年間は実質無利子になるのです。 補給対象の貸付上限額は当初3000万円、現在は4000万円となっています。鎌倉商工会議所が相談を受けて申請手続きを進めた(斡旋)件数は、8月末時点で254件、31億円に上ります。 制度を利用してもらうには需要の掘り起こしも大事です。コロナ禍以前から、補助金利用者の声をチラシにまとめて配布したり、SNSにアップしたりする活動を続けてきたことが、コロナ禍での斡旋の増加につながりました。

どんな業種からの相談が多かったのですか。

飲食業の方々からの相談が一番早かったですね。この特別貸付制度は3月初めから始まりましたが、3月6日には最初の相談がありました。後に、県内では中華街と鎌倉からの相談が最も早かったと聞きました。やはり観光に関係した飲食業に、最も早く深刻な影響が出たのだと思います。 3月、4月と相談が殺到しましたが、鎌倉商工会議所には7人の経営指導員がいるので、危機を乗り切るための相談に乗りながら、特別貸付制度などを紹介しました。 4月に入ると、様々な業種から相談が寄せられるようになりました。例えば工務店の方から「建物が完成したのに引き渡せず、入金がなく苦しい」という相談がありました。なぜ引き渡せないのか不思議に思い、確認したところ「トイレが出来ていないから」というのです。便器の多くは中国で作られていて輸入が止まってしまったので設置できなかったのです。さすがに「トレイは後で作るから、とりあえず住んで欲しい」とは言えませんから。コロナ禍で思わぬ所に様々な影響が出ていました。 ですが、特別貸付制度を活用して先手を打った人もいます。ある珈琲店の店主は、コロナが南米にも広がってコーヒー豆の入手が困難になるのを見越して早い段階で運転資金を調達し、コーヒー豆の確保に成功しました。 現在、特別貸付制度の利用について、必要な事業者はほぼ申請を終えたのではないかと考えています。持続化給付金や家賃支援給付金などの利用も広がり、まだまだ大変な状況にあることに変わりはありませんが、今年上半期の窮地は多くの事業者が何とか「しのいでいる」と感じています。

鎌倉朝日新聞社

経営指導員が携帯用パソコンを活用して行う対面相談

鎌倉朝日新聞社

補助金利用者たちの声を集めたチラシ(コロナ禍以前の利用者)

コロナ後を見据えた販路開拓支援

コロナの影響はいつまで続くか予想できません。現在、事業者に勧めている支援制度はありますか。

様々な支援策を利用して「会社を守り抜きましょう」という段階から、現在は今後を見据えた攻めの段階に移ってきていると思います。コロナ禍をきっかけに、社会は大きく変わろうとしています。時代の変化に即応し、事業の新規展開や販路拡大を進めることが求められています。 そこで、私たち鎌倉商工会議所の経営指導員が利用を勧めているのが、「持続化補助」(コロナ特別対応型)です。小規模事業者などが、コロナ禍の影響を乗り越えるために行う販路開拓等の取り組みを支援する制度で、補助上限は100万円です。 活用例としては「新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受ける中でも、営業を継続するため、店内飲食のみであった洋食屋が、出前注文を受けるためのWEBサイトを作成し、来店しない顧客への販売を開始」「旅館が、自動受付機を導入し、非対面のサービスを提供する」などが想定されています。感染防止のためにオンラインや非対面サービスなどを導入した場合、最大100万円の補助を受けられるのです。 鎌倉商工会議所では、9月2日現在、274件の持続化補助(コロナ特別対応型)申請支援を行いました。経営指導員1人あたり、約40件の支援を担当したことになり、これは全国トップクラスの数になります。

高齢の経営者の中には、WEBサイトの活用などが困難な人も少なくないと思います。そのような人たちも、持続化補助を利用できますか。

100万円まで補助が出るといっても、補助率は最大4分の3ですから、4分の1は自己負担です。継続できないことを無理に始めても無駄になるので、出来ることを事業者と一緒に考えています。 持続化補助は、特に支援の継続が大事です。この補助を受けるためには事業計画の作成が必要なのですが、小規模な事業者の多くは作成した経験がないため、私たちが詳しく支援します。そして、何とか作って補助金の申請が通ると、ほっとして満足してしまう傾向にあります。ですが、大事なのはそこからなのです。計画を実施しなければ補助金は出ませんし、将来につながる試みにしないといけません。そのために、鎌倉商工会議所の経営指導員たちは、事業計画の実施支援においても全力を尽くしたいと考えています。

携帯用パソコンでオンライン相談も

鎌倉商工会議所のコロナ対策はどのように行いましたか。

窓口でのシールド設置を早期に進めたほか、経営指導員らへの携帯用パソコンの支給をいち早く進めました。コロナ対策としての携帯用パソコンの導入は、全国の商工会議所で一番早かったと思います。 これにより、各経営指導員はオンラインで事業者の相談に対応できるようになりました。また、パソコンに様々なデータを表示しながら説明できるようになったので、シールド越しの対面での対応も、より効果的に行えるようになりました。

各会社がコロナ禍をプラスに変えることはできますか。

コロナ禍によって、図らずも社会全体のオンライン化が加速しました。様々な支援を受けたり、生き残りを図ったりするため、経営者は事業を抜本的に見直したり、経営効率の改善を迫られたりするようになりました。 事業はトライアンドエラーの連続です。いろいろあたってみながら、あたりを探すチャレンジングな姿勢が欠かせません。コロナ禍は大変な災難ですが、これを乗り越えた会社は強靭な体質になるはずです。ピンチをチャンスに変えることが大事です。そのための支援を私たちは続けていきます。

鎌倉商工会議所
0467・23・2561


鎌倉朝日新聞社

外遊びの活動も再開!=7月13日出張おでかけてらこや

いざっ!!鎌倉てらこや(70)

たくましき子どもたち
鎌倉てらこや事務局長  小木曽 駿

新型コロナウイルスが世界的に大流行し、それまでの私たちの生活を根本的に変えてしまってからすでに半年が経過しようとしている。 鎌倉てらこやの活動も、2月末以降のすべての活動を自粛してきたが、6月には県を越えての移動が容認されたことを受け、感染拡大防止対策した上で少しずつ活動を始めている。鎌倉市の学童保育施設に大学生が遊びに行く活動も8月以降徐々に再開している。 学童施設では、同じおもちゃを使って遊ぶのでも大勢で遊ぶのでなく、少人数で順番に遊ぶ事が推奨されたり、図書室でも互い違いに距離を取って座るように工夫がなされたりしている。 こうした感染拡大防止対策に対して、遊びたいおもちゃで遊べない、関わりたい相手と遊べないという不自由な非日常は日常化し、子どもたちはたくましくも現実に適応し始めている。学童施設に通う子どもたちは総じて落ち着きを取り戻しており、一緒に遊んでいても表情は以前とあまり変わりないように見える。 しかし、大人ですら大きな不安やストレスを感じざるを得ない昨今、子どもたちも大きく影響を受けていることは想像に難くない。 「前と変わらないのだけど、少し元気がないように感じるんです」とは学童施設に通う大学生の声だ。 例えば、大学生が本気で縄跳びに挑むことで、「お兄さんさんよりもたくさん跳びたいっ!」と、いつもの遊びがちょっと刺激的なものとなったり、お姉さんが声をかけて、普段あまり関わらない他学年の子どもたち同士が関わるきっかけを作ったりと、何気ない日常を新鮮なものとする関わりは、子どもたちの心を少しでも和らげるものとして、コロナ禍の状況下であるからこそ、「不要不急」ではない、子どもたちに必要な関わりとなるのではないだろうか。 私たちの世界は既に変わってしまった。ワクチンが普及し、コロナウイルスが社会的に受容されるまでは、現状を受け入れながら生活していかざるを得ない。だからこそ、感染防止対策を徹底しながら、今後もてらこや活動を継続していく所存である。

鎌倉てらこや事務局
0467-84-9746(平日13~17時)
http://kamakura-terakoya.net/


鎌倉朝日新聞社

小泉八雲記念展の図録=10月10日〜12月6日新宿歴史博物館で開催

心のふる里を行く(34)

名も無きものヘの眼差し
  ― 八雲生誕170年展覧会に寄せて 池田雅之

小泉八雲の生涯を辿る特別展「生誕170年記念 小泉八雲」が、新宿歴史博物館で10月10日から12月6日まで開かれる。 テーマは、「小泉八雲-放浪するゴースト」であるが、多くの美しいカラー写真、八雲の生活用品、代表的作品の紹介など盛り沢山の展示からなる、大規模な展覧会である。私は監修者として、展示作品の翻訳と図録作りのお手伝いをした。 八雲は怪談ばかりが有名だが、今回の展示と図録では、彼の幅広い作家活動を紹介することに努めた。八雲は『怪談』だけの作家ではなく、『日本の面影』のような紀行文や『心』のような随想、あるいは『日本』のような文化論などの分野でも、多大な業績を残している。口述した東大講義録は日本の作家だけでなく、海外でも大いに読まれた。 今回の展示のキーワードは放浪するゴーストであるが、ここでいうゴーストとは幽霊というより霊的存在というほどの意味で、八雲自身のことを指している。八雲の作品の多くは、名も無き庶民や社会的弱者といわれる人びととの魂の交感、その響き合いから生まれた。それゆえ、ゴーストという言葉は、八雲の鋭敏な感受性を示しているだけではなく、精神的な深さも暗示しているのであろう。 今回の展示で強調してみたいと思ったのは、八雲の見えないものを見ようとする霊的感受性であり、名も無きもの、弱き者に対する温かな眼差しである。あるいは、社会的弱者に寄り添うやさしさと言い換えてもよかろう。 また八雲というと、最初の赴任地松江のイメージが強いが、彼の日本入門は、鎌倉の円覚寺、建長寺、鎌倉大仏殿の仏像体験と江ノ島詣でといってよかった。とりわけ鎌倉から江ノ島に人力車向かう道すがら、八雲は名も無き朽ち果てた路傍の石仏に心惹かれたのであった。この心温まる130年前の体験は、『鎌倉・江ノ島詣」でという作品の克明に描かれている。 八雲文学には、今日のコロナ禍の時代をどう捉え、いかに乗り超えてゆくかについての、日本人の心の在り方についてのヒントが隠されているように思われる。 この様な時代だからこそ、ぜひ八雲展に足をお運び頂きたいと思う。また図録にも手を延ばして下さると嬉しい限りである。そして 皆さんの八雲を再発見していただきたい。
(早稲田大学名誉教授・鎌倉てらこや顧問)


鎌倉朝日新聞社

東日本被災児童支援チャリティーコンサート

鎌倉市倫理法人会 通信

「いざ、鎌倉!」59 歴史と伝統のある鎌倉を梁山泊に!
 東日本被災児童支援コンサート

東日本大震災の惨事を忘れてはならないと、鎌倉市倫理法人会主催の「第7回東日本被災児童支援チャリティーコンサート」が8月8日、鎌倉芸術館で開かれました。 第一部は鎌倉マジシャンズクラブ会員のマジックショー、第二部では奇跡の一本松の魂柱を持つ「TUNANIヴァイオリン」で丸山萌音揮さん、丸山奏さんらがすばらしい演奏をご披露いただき、盛況のうちに終了することができました。 コロナ禍のなか、多くの人が会場へお越しくださり、厚く御礼申し上げます。 東日本大震災被災児童支援の活動基金として、鎌倉てらこやへ昨年と同額の30万円、 TSUNAMIヴァイオリンの東日本支援協力金として東京ヴァイオリンに3万円、コロナ対策支援金として、コロナ指定医療機関に1万円を寄付することができました。 今回を励みに目標の第10回までこのチャリティーコンサートを継続 してゆく所存です。 実行委員長白木大五郎
◇  ◇
倫理法人会は生き方、物の捉え方を変える自分磨きの場です。 和やかな家庭、活力ある職場、明るい地域社会をつくることが、美しく平和な社会を築く第一歩です。人間生活のすじみちを学び、日々の実践に努める人々の輪を拡げるべく共に学び、人のために尽くす心持ちで幸せな人生を送りましょう。 鎌倉市倫理法人会は、「素直に心が開ける場」として人間の生き甲斐の基本を追究しようとする仲間が大勢います。彼らの実話(成功・失敗・解析例)を聞きにきませんか。 毎週火曜日・朝6時半からネクトン大船(鎌倉市大船1―12―10湘南第5ビル)でモーニングセミナーを開催しています。見学自由。
(文責 平松健男)
鎌倉市倫理法人会事務局 045・315・2433


鎌倉朝日新聞社

だんかづら

さすけ、11歳。カニンヘンダックスフント。とても食いしん坊で甘えん坊、抱っこが大好きな男の子です。これからもいっぱい遊ぼうね。
鎌倉市笛田 野口さん方

●ペットの写真募集!
掲載後、その写真をカレンダーにして進呈します。住所・氏名・☎を明記、1面題字下住所の鎌倉朝日へ。


鎌倉朝日新聞社

画廊・ギャラリー

●ギャラリー一翆堂
10月16〜20日2020秋冬ICHIの古布服展 24〜29日伊賀 小島陽介 器展



お知らせ

●第24回極楽寺・稲村ガ崎アートフェスティバル2021年春に延期になりました。
●第19回鎌倉全国俳句大賞事前投句募集
10月15日まで。▽一般=2句1組千円。何組でも可。▽青少年=2句1組のみ。無料。選者は星野椿さんら。優秀作表彰11月29日鶴岡八幡宮。応募は住所、氏名、俳号、年齢、性別、を明記、鎌倉市二階堂231―1
鎌倉虚子立子記念館 61・2688


鎌倉朝日新聞社

堀文子《廃墟》1948年紙本着彩秋田県立近代美術館蔵

鎌倉朝日新聞社

み る

▼「生誕100年激動の時代を生きた2人の女優―原節子と山口淑子」展
12月13日まで川喜多映画記念館。4百円。 ▽上映会15・18日14時、16日10時半(18日トーク付)「私の鶯」。16日14時、17日13時(17日トーク付)「萬世流芳」。27・31日10時半、28・30日・11月1日14時「新しき土」。27・29日14時、28・29・30日・11月1日10時半「智恵子抄」。各千円、トーク付は1200円。
▽トークイベント10月31日14時、「原節子と『新しき土』」ゲスト石井妙子さん。1200円。
23・2500
▼企画展「あの時の金沢文庫1964」
10月2日~11月29日県立金沢文庫。前回の東京五輪が開催された1964年の金沢文庫を文化財や周辺地域の様子とともに振返る。国宝 文選集注巻73、重文 十六羅漢像など。250円。
045・701・9069
▼開館35周年記念特別展「川端康成 美しい日本」
10月4日~12月23日鎌倉文学館。鎌倉にゆかりある川端康成の作品や愛蔵品の展示。5百円。 ▽配信イベント11月中旬~12月23日。①文学講座講師は酒井忠康さん、阿部久瑠美さん、富岡幸一郎さん。②古典講座講師は三田村雅子さん。無料。
▽参加イベント①川端邸庭園公開11月14日10時・13時半。要申込。②文学散歩「長谷周辺」11月4・5・10・11日10時、無料。要申込。
23・3911
▼第62回鎌倉薪能
今回の鎌倉薪能は鎌倉宮で奉納された演能を10月15日からオンラインで無料配信する。素謡「翁」金春憲和師、仕舞「羽衣」金春安明師、仕舞「鍾 馗」山井綱雄師。
鎌倉市観光協会 23・3050
▼「生命のリアリズム 珠玉の日本画」展
10月10日~12月20日県立近代美術館葉山。丸木スマ、堀文子、葉山在住の画家内田あぐり「残丘―あくがれ」などの日本画作品を紹介。1200円。
046・875・2800
▼特別展「相模川流域のみほとけ」展
10月10日~11月29日県立歴史博物館。相模川流域の仏像の展示。セミナーや現地見学会、学芸員による展示解説など。9百円。
045・201・0926
▼鎌倉早見美容芸術専門学校ヘアショー
10月15日13時、鎌倉芸術館。第81回生によるヘアショー。無料。
22・3340
▼2020秋冬ICHIの古布服展
10月16日〜20日鎌倉小町通りのギャラリー一翆堂。古布服作家ICHI
(市野摩弥)さんの一点ものの古布服を展示販売。古布木綿の藍染め布を中心に絣や縞、風呂敷や手ぬぐい、大漁旗などを使い、着心地のよさにこだわった制作に励むイチさんは「日常生活のなかでオシャレを楽しんで」と話す。
同ギャラリー 22・3769
▼能を知る会 鎌倉公演
10月21日10時・14時、鎌倉能舞台。▽朝の部狂言「宗八」野村萬斎、能「籠太鼓」中森貫太。▽昼の部狂言「成上り」野村萬斎、能「熊坂」中森健之介。各5800円。
22・5557




き く

▼村田望 音楽×言葉×演技vol.1「まず、言葉があった…」
10月4日14時、鎌倉の佐助サロン。村田望さんのヴォーカルと中澤美紀さんのピアノで、武満徹作品集から「歌うだけ」など。4500円、前売4000円。
スタジオエスポワール 090・2207・0031
▼鎌倉交響楽団第116回定期演奏会
10月31日14時、鎌倉芸術館。指揮、和田一樹ウェーバー「オベロン」序曲、カリンニコフ「交響曲第1番」など。千円(前売のみ)。
曽根方 31・4380
▼佐藤勝重と仲間たちによるモーツァルトとベートーヴェンの室内楽  10月31日14時、藤沢リラホール。湘南モーツァルト愛好会例会。モーツァルトピアノソナタ、ピアノ4重奏曲第2番K493など。4500円。
046・872・1963



まなぶ

▼オンライン教育講座「今、ここの学び~子ども達の笑顔のために」
10月10日①10時、教員と保護者は子どもと歩む(実践報告)市立深沢小学校渋谷亮太教頭ら。②11時10分、交流会 秦野市立南が丘小学校校長ら。無料。YouTubeでの視聴。申込不要。
鎌倉あそび基地 32・3830
▼だじゃれは文化である
10月11日13時15分、鎌倉市福祉センター。門口泰宣さんがだじゃれの仕組みの解説。5百円。
湘現会 090・9329・0937
▼免疫力が上がる!呼吸のひみつ
10月16日10時、鎌倉市福祉センター。鎌倉在住者対象。講師は鎌倉逗葉鍼灸マッサージ師会副会長・小田良実さん。5百円。
鎌倉市社会福祉協議会 61・2600
▼鎌倉の魅力を再発見!発信してみよう!
10月18日13時、HATSU鎌倉。地域の魅力発見の視点の持ち方を学び、地元の風景写真にキャッチコピーをつけるワークショップ。無料。
リシンククリエイタープロジェクト運営事務局 03・3580・1127
▼からだと心を整える美しい姿勢と歩き方 10月27日10時、鎌倉市福祉センター。鎌倉在住、65歳以上対象。正しい姿勢や歩き方を実践を通して学ぶ。無料。
市民健康課 61・3977
▼鎌倉の自然を「楽しむ学ぶ守る」セミナー
10月29日13時半、玉縄学習センター。鎌倉の森に長年関わった体験、歴史遺産を学び、自然からの恩恵を次世代につなぐセミナー。5百円。
玉縄城址まちづくり会議 45・7411



さんか

▼原田寛 ミニ写真展&カレンダー販売
10月12~25日腸詰屋鎌倉小町。作品の展示、来年のカレンダーとポストカードを販売。▽フォト&トークの夕べ18日18時。2千円(ソーセージ、1ドリンク付)
星月写真企画 23・3694
▼北鎌倉・台峯の緑をともに
▽山の手入れ10月17日10時、山ノ内配水池横。
▽山歩き18日9時、山ノ内公会堂。
北鎌倉の景観を後世に伝える基金・望月方 45・7420
▼ふらっとカフェ鎌倉
食を通じで多世代交流。A10月16日17時半、二階堂デイケアセンター。B28日16時半、ソンベカフェ。子どもA2百円、B3百円。大人5百円。要申込。※食料の寄付と困窮者への配布も受付中。
渡邊方 090・5199・1654
▼大船フラワーセンターの催し
▽フラワーコンサート4日11時・14時、原美月さんのチェロ演奏。無料。
▽園長花さんぽ11日10時、見頃の花を紹介する。無料。▽Aハロウィンフラワーアレンジメント17日11時・13時半、カボチャを使ったアレンジメント作り。千円。要申込。
▽有島薫氏のバラガイドツアー23日13時半、無料。▽B色鉛筆植物画入門・秋編24日10時・13時半。2千円。要申込。▽鎌倉ジュニアオーケストラ特別コンサート25日11時・13時・14時・15時、無料。▽菊ガイドツアー31日10時半・13時半、菊花連盟のガイド。無料。▽Cポンポン菊でウサギ作り11月7日11時・13時半。千円。要申込。
A4日まで、B11日まで、C25日までにホームページか往復ハガキで申込。
46・2188
▼逗子の市(雨天中止)
亀岡八幡宮境内。
▽フリーマーケット10月28日9~15時。
▽骨董市31日8~15時。
片岡方 090・5442・3778
▼観光遊漁船クルーズ
11月1日10時・14時、小坪漁港の漁業振興センター。小学生以上対象。漁師と小坪漁港から江の島を往復し海を満喫する。小学生5百円、中学生以上2千円。
逗子市観光協会 046・873・1111
▼出張!お出かけてらこや
10月4・17・18・31日14時、大船駅笠間口横の広場集合。小中学生と保護者対象。大学生と一緒に笠間中央公園で遊ぶ。無料。
鎌倉てらこや 84・ 9746
▼逗子アートフェスティバル2020
~生活とアートと
3年に一度の「逗子アートフェスティバル」が10月9~25日、逗子市内各所で開かれる。
芸術文化活動で地域の活性化を図る市民と市の協働事業。
その一部を紹介。
▽MIRRORBOWLER10月9~11日17時亀岡八幡宮。巨大ミラーボール作品の展示。無料。
▽まぜこぜおばけ ぼくたちのうたがきこえますか10月9日11時・10日9時半、逗子プラザ。1500人以上が参加した大型インスタレーション。海洋プラスチックが素材の作品を展開。無料。
▽空き家おくりびと10月10~12・16~19・23~25日11時、森川邸。逗子小学校近くの空き家「森川邸」の思い出をテーマにした作品展示。無料。
▽みんなでアート10月12日~YouTubeで無料配信。逗子の共生社会の体感。ファッションショー、音楽演奏など。
▽池子の森の音楽祭10月24・25日10時、池子の森自然公園。ライブ、フードエリアなど。1500円、高校生以下無料。
▽ラン、ウェイ10月10~15日東逗子エントランス。針や糸を使わずに制作したドレスの展示。無料。
逗子アートフェスティバル実行委会 046・873・1111
▼第15回湘南邸園文化祭2020
10月2日~12月10日相模湾沿岸地域一帯で開かれる。その一部を紹介。
鎌倉▽エリアナ・パヴロバ顕彰碑、腰越戦没者慰霊碑めぐり10月10日13時江ノ電七里ヶ浜駅改札前集合。5百円。申込はメール。
鎌倉邸園文化クリエイション 32・1650
▽「数寄屋造りと日本庭園のみかた」講座@旧山本条太郎別荘10月30日10時・13時半。旧山本条太郎別荘。2500円。申込はメール。
庭屋一如研究会 080・7115 ・2644
逗子▽脇村邸サロン
「脇村義太郎を偲ぶ」10月17日13時逗子市役所集合。千円。申込はメール。
逗子の文化をつなぎ広め深める会 080・5096・1385
藤沢▽盛岩寺昭和文化館墨跡風入れ展と展示解説11月1~3日10時盛岩寺昭和文化館。無料。
0466・48・5653
▽旧モーガン邸で楽しむ藍染体験会10月8日11時・13時旧モーガン邸庭園。千円。申込、問い合わせはメール。旧モーガン邸を守る会。
葉山▽里山を散歩し、里山の食材を味わう11月7日10時滝の坂バス停集合。3500円。申込はメール。
原風景を生かすまちづくりの会 090 ・2312・2257
同文化祭連絡協議会 045・341・0087
◆鎌倉朝日9月号「身体にいい音楽会」チケットプレゼント当選者 今立保治 (鎌倉市)、土屋克規(逗子市)(敬称略)


鎌倉朝日新聞社

季節の心(49)

〝ぜんざい〟は出雲生まれ  佐伯 仁

●名物に由緒あり…
10月。異名では神無月。全国の神々が一挙に出雲に集まり縁結び。そのため出雲では神在月という。出雲に集まった神々は全国の男女の名札結びに忙殺される。 天照大神をはじめ奮闘する神々の姿は浮世絵=八百万神達縁結給図に描かれている。 一週間の作業後、神々は地元へお発ちになる。その戻る「神等去出祭」の日、各家では小豆雑煮=神在餅を神棚に供える。 現在、神迎え、神送りは新暦の11月25日~12月1日まで続く。 その神在餅は出雲の方言で「ずんざい」、京都で「ぜんざい」となる。 興味深いのは関東では汁気のある小豆煮は「しるこ」、関西では「ぜんざい」という。 いずれにしても餅も小豆も神威の証し。かつて小豆を食べる日は決まっていた。その日は神や先祖を祀る「厳く」日。「厳」は神を示す語。つまり「小豆」と「厳」との“音”の類似が小豆の神聖視を生んだ、といえるだろう。 小豆は1月の季語。祝いの日々が続く新年にふさわしい。 また小豆粥を炊き、椀に移し、吹いて食べると稲への風害はないとか。
 乳飲子の口に一粒
   小豆粥  中野三允





購入新図書のリスト抄

鎌倉市中央図書館(8月分)

鎌倉市中央図書館(25・2611)は8月に一般184冊、児童書29冊を収蔵した。一般的なものは下記の通り。 ▼「リビング・シフト-面白法人カヤックが考える未来」柳澤大輔著 KADOKAWA ▼「特攻最後の証言-100歳・98歳の兄弟が語る」岩井忠正著 岩井忠熊著 ザ・ブック ▼「黒い雨に撃たれて-二つの祖国を生きた日系人家族の物語 上下」パメラ・ロトナー・サカモト著 慶應義塾大学出版会 ▼「湯川秀樹の戦争と平和-ノーベル賞科学者が遺した希望」小沼通二著(岩波ブックレット) ▼「変質する世界-ウィズコロナの経済と社会」Voice編集部編(PHP新書) ▼「危機の正体-コロナ時代を生き抜く技法」佐藤優著(朝日新書) ▼「図解「届け出」だけでお金がもらえる制度一覧-最新版」小泉正典監修 三笠書房 ▼「美しい数学入門」伊藤由佳理著(岩波新書) ▼「ねじれとゆがみ-毎日すっきりセルフ整体教室」別所愉庵著 晶文社 ▼「海と地域を蘇らせるプラスチック「革命」」グンター・パウリ著 マルコ・シメオーニ著 日経BP ▼「ワークマンは商品を変えずに売り方を変えただけでなぜ2倍売れたのか」酒井大輔著 日経BP ▼「ホテル御三家-帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ」山川清弘著(幻冬舎新書) ▼「99%の人が速くなる走り方」平岩時雄著(ちくまプリマ―新書) ▼「辰巳芳子ご飯と汁物-後世に伝えたい食べ物」辰巳芳子著 NHK出版


鎌倉朝日新聞社

鎌倉彫のゴルフボールマーカー

鎌倉朝日新聞社

手作り一点もの(マグネット付)

オリジナル製品でゴルフを

鎌倉彫のボールマーカー

伝統鎌倉彫事業協同組合(鎌倉市由比ガ浜・三月一彦理事長)は、秋のゴルフシーズンを迎えて、オリジナルゴルフボールマーカーを制作し、販売している。 大きさは直径3㎝ほど、鎌倉彫に使われるカツラの木に、花、動物、干支、吉兆模様、屈輪紋、文字などを彫って本漆をかけている。形や色は様々で、すべて1点ものの手作り品。漆には抗菌作用があり、発色変化もする。裏にマグネットが付いているので、帽子やズボンのポケットの金具につけたり、あるいは、家庭の冷蔵庫につけたりして、プレー以外でも楽しめる。 価格は1つ4180円~4800円(税込)、彫りや塗りで価格差がある。 6月に何人かに試作品を使ってもらい、意見を聞いたところ、プラスチックや金属のものより厚みや大きさがあるので、ポケットに入れていても取り出しやすく、木彫りの柔らかな感触とデザインを楽しめると好評だった。なかには、使っているうちに漆が発色して味わいが出たと感動した人もいたという。8月に新宿のデパートの伝統工芸品展に出展したところ、売れ行きがよかった。 同組合の星悟さんもこのボールマーカーの愛用者の一人。「世界に一つだけのオリジナル製品。持っているだけでプレーが楽しくなる」と話す。 特別注文にも応じるので、自分の好きなデザインのものが持てる。プレゼントやゴルフコンペの賞品にも最適。同組合では、今後、ピアスやイヤリングの取り扱いも展開していくという。
問い合わせは鎌倉彫工芸館問い合わせは鎌倉彫工芸館 0467・23・0154


鎌倉朝日新聞社

例年、イベントで配布しているチラシ類

10月は里親月間
コロナ禍で啓発活動に苦戦

鎌倉児童ホーム

毎年10月は、厚生労働省が「里親月間」と称して、里親制度やファミリーホームを推進するための集中的な啓発活動を実施しており、全国でもさまざまな活動が行われている。 鎌倉市佐助の児童養護施設・鎌倉児童ホームでも里親探しを行っているが、コロナ禍の影響で停滞している。新たに里親になるための研修の一部が開けず、広報イベントも軒並み中止になるなど従来の活動が制限されているためだ。子どもたちへの影響を少なくするための方法を模索中だ。 鎌倉児童ホームは1896年、腰越医院内の「小児保育院」として誕生し、1906年、現在地に移転した。2歳児から高校生までの約60人がここで生活していてその多くが児童虐待を受けた経験があることから心のケアを必要とし、特定の大人(里親)との愛着関係の再形成と、信頼関係の再構築が重要になっている。 里親制度というと、児童養護施設の子どもを受け入れ、独立するまで育てる長期養育のイメージがあるが、週末や正月など短期間の受け入れもできる。養育のために必要な費用は国や県から定められた金額が支払われる。 ただし、里親になるには家庭状況などの調査を受けたり、研修を受講したりする必要があるが、今回のコロナ禍で、研修の一部がストップ。里親希望者が鎌倉児童ホームを訪れて子どもたちと交流する研修が、感染防止のためにできなくなり、研修を修了できず、正式な里親になれない人が出てきている。 また、秋に鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町で開かれるはずだった福祉イベントが全て中止となり、広報活動ができなくなった。同ホーム里親支援専門相談員の宮﨑千鶴子さんは「各イベントではブースなどを出して、チラシを数百部ずつ配布していた。それで制度を知り、里親になってくれる人が多かった。イベントができない影響はとても大きい」と残念がる。 鎌倉三浦地域里親会の会長を務める女性は「長期や短期の養育を通じて、子どもたちがどんどん元気になっていく姿を見られるのがうれしい。とてもやりがいがあるので、多くの人に制度を知ってほしい」と語る。 同ホームでは今後、県や児童相談所などと連携し、感染防止策を取った上で「里親研修を再開させたい」としている。


鎌倉朝日新聞社

「海を渡った鎌倉のユリ」展

輸出用の球根栽培地だった玉縄

鎌倉・玉縄は大正時代、欧米に輸出された日本のユリの栽培地だった―こんな忘れられていた地域史を紹介する「海を渡った鎌倉のユリ」展が9月8日から22日まで鎌倉市玉縄図書館で開かれた。訪れた地元住民らは熱心にパネルや展示物に見入っていた=写真。 鎌倉玉縄ユリ・プロジェクト、玉縄図書館などの主催。ユリ貿易の歴史から鎌倉郡玉縄村のユリ栽培の様子などが写真付きで展示されたほか、大正元年の輸出用ユリカタログや日本のユリを絵柄にした英国人デザイナーのティーカップなども並べられ、目を引いた。 中心になって資料集めなどをした岡本在住の入江麻理子さんは、玉縄地区の家の庭先や道路脇にユリが咲いているのに気づき、調べ始めた。自宅近くにある旧家の建物が「ユリ御殿」とも呼ばれていたことを知り、好奇心がさらにそそられたそうだ。 訪れた地元の主婦は「玉縄に長く住んでいるが、こんなユリの歴史があるなんて知らなかった」と驚いていた。 資料探しに協力した玉縄図書館の佐藤敦子館長は「この展示で皆さんの地域を知る意欲がかき立てられ、玉縄の歴史を次世代につないでいけたら図書館としてうれしい」とコメントした。


スケッチ日和(37)

「笛田風景」  黒川 明

笛田には水田が残っている。以前、吉崎道治先生がここを描いた苅田の絵を拝見したことがある。明るい中にもそこが米を作る現場であるという重みを感じさせる作品で感動した。 何時か描きたいと思いながら描けなかった。だが、いつまでもあるとはかぎらない。まだ、稲穂が垂れるというところまで熟してはいないが描くことにした。 深みや重みが出ないのは仕方がない。結局、絵は人間で、その違いは人間の違いだ。描き上げてしばらく反省して、また先生の絵に会いたくなった。
水彩画 31×41cm


鎌倉朝日新聞社

「自動車税の還付手続きも行います(軽除く)

車の売却をお考えの方へ
鎌倉で安心の車買取店

電話一本、無料で出張査定

「乗らない車がある」「車をできるだけ高く売りたい」そんな人にお勧めしたいのが、鎌倉で多数の実績をもつ、車買取店 「ハッピーカーズ 鎌倉店」。 大きな店舗を持たず、地域密着の出張査定に特化することで、抑えた経費を買取金額に還元し、高額買取を実現。「大切にしてきた車を手放すのは不安なこと。丁寧・確実な対応で安心して売却できる地元車買取店の当店に、お任せください。」と坂野代表。 同店では他社で査定額が0円と言われた車も最低2万円以上で買取る(1600CC以下は5千円以上)。出張査定だから外出不要。 手続きから引き取りまで無料で行ってくれる。売却を考えている人は一度、査定を依頼してみてはいかがだろうか。
ハッピーカーズ 鎌倉店
0467・81・4641
9時〜21時・定休日なし



鎌倉年中行事

10月

▼達磨忌 4日14時、宿忌。5日10時、半斎。建長寺。
▼人形供養 4日13時、参列不可。本覚寺。
▼絵筆塚祭 10・11日まんが絵行灯掲揚、10日日没後点灯。11日13時祭事。荏柄天神社。
▼初亥祭 11日9時神職のみ、10時一般参拝。江島神社。
▼十夜大法要 13日午前施餓鬼受付、14日法要、神職のみ、行列など中止。光明寺。
▼鎌倉薪能15日からオンライン配信(6面に詳細)。
▼白旗神社文墨祭 28日10時神職のみ。鶴岡八幡宮白旗神社。


プロムナード

3月頃から新型コロナウイルスの影響で、生活スタイルの変化を余儀なくされて、はや半年以上が経過しました▼新しい生活様式として、義務教育を受ける児童生徒のために、1人1台の学習者用PCと高速ネットワーク環境などを整備する5年計画のGIGAスクール構想が急ピッチで整備されています▼義務教育の段階でリモートワークが本格始動した際、約10年後にはGIGAスクールの教育を受けた子どもが社会に出て仕事を始めることになります▼10年後に勤務先というものが存在している職業がどれほど残されているのか、本拠地が国内だけでなく海外に置かれている場合も多くなる気がして、楽しみと不安が入り混じっています。(N)


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