鎌倉朝日新聞 (4月1日号 2018年 第469号)

鎌倉朝日新聞社

樹齢約250年のヤマザクラ=昨年、峯山で

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広場でリンボーダンスをする子どもたち

よみがえったヤマザクラ

常盤緑地で住民らが手入れ

鎌倉の市の木『ヤマザクラ』を多くの市民に知ってもらおうと、鎌倉市の緑地保全地区・常盤山緑地のほぼ中央に位置する峯山周辺の散策路の整備やヤマザクラの維持管理に昨年から取り組むのは「鎌倉、峯山の会」代表・吉田善作さん。 きっかけは、2年前の秋、散歩でしばらくぶりに「殿入り口」から常盤山緑地に向かうと、シノダケやマダケがうっそうと茂って道をふさぎ1、2㍍先も見通せない状態で、日も当たらず薄暗くなっているのに驚いた。 さらに、巨木が倒れて道をふさいでいるのを見た時、子どもが倒木の下を潜り抜けでもしたら危険だ、何とかしなければと感じたという。保全活動をするためさっそく鎌倉市の公園課にボランティア活動申請を行い「鎌倉、峯山の会」を発足させ仲間に呼びかけた。 昨年1月から作業を開始し、標高100㍍ほどの峯山の頂に向かってやっと人が通れるほどの幅でシノダケを伐採して歩きやすくすると、近くの保育園児たちが山歩きにくるようになった。 ほかの環境保全団体とも連携をとりながら整備を続けていくと、今まで隠れていたヤマザクラがだんだんと姿を見せはじめ、それが多数あることが確認された。さらに山頂周辺を刈り倒していくと藪の中からヤマザクラの群生が姿を現わした。全体で400本を超えるのではないかという。 大蛇のようなフジヅルに巻きつかれた幹回り3㍍を超える巨木もあり、「これらのヤマザクラはいつ頃植えられたのだろう」と会員の一人で森林学に精通している藤井能成さんが調査した結果、樹齢百数十年から250年ほど、江戸時代後期から明治時代に植えられたものと推定された。 「このまま放っておけば歴史的遺産のヤマザクラがみな枯死してしまう」と土木技術者・小川勝一さんも助っ人に加わり、山頂周辺の斜面を切り開いて広場をつくった。四方に視界も開け、富士山や逗子・葉山の海も見渡せる。「今年はとりあえずはなみができそう。一面に咲くヤマザクラをぜひ多くの方に見に来てほしい」と吉田さんは話す。 峯山に至る「殿入り口」は鎌倉市常盤の「仲の坂」と「八雲神社」のバス停のほぼ真ん中で、そこから畑の横を通り、しばらく山道を行くと山頂広場に到着する。道は細く高低差がありすべりやすいので注意が必要。 毎週火曜日の整備活動に加わる会員も募集中。
問い合わせ吉田さん 090・8855・5459  zeng@my.zaq.jp


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逗子の花火大会ピンチ

実行委員会 支援募る

今年61回目となる逗子市の「逗子海岸花火大会」が開催の危機にある。市の財政難から市観光協会の花火大会に係る補助金1800万円が削減されたため、運営・警備などにあてる資金が不足する。市民ら有志が「みんなでつくる逗子海岸花火大会実行委員会(仮称)」を3月初旬に立ち上げ、6月1日の花火大会開催に向けて支援を募る=写真。 実行委では、砂浜に約4千席の有料席を設け販売、市内の商店街を中心に特製のリストバンド(税込5百円)の販売、インターネット上のクラウドファンディングでの寄付集め、法人協賛やボランティアを募る等の対策を4月以降行っていく。 毎年10万人の人出がある逗子花火、実行委の市商店街連合会会長丸山広宣さん(54)は「街を活気づけるためにも開催にこぎ着けたい」と呼びかけている。
問い合わせ実行委(市観光協会内) 046・873・1111


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鎌倉みほとけ紀行(80)

円応寺・檀拏幢(人頭杖)

一度目にするとなぜかずっと頭に残っている人頭(にんず)杖(じょう)。 「嘘をついたら閻魔様に舌を抜かれる」。よく大人達に脅かされたものだ。冥界には閻魔王庁があり亡者を裁くという。その閻魔大王が手にされているのがこの異質な顔をもつ二つの頭を乗せた檀拏幢(だんだとう)であります。 亡者の罪業の軽重を調べるもので、重罪ならば右の恐ろしい面持ちの太山府君(たいざんふくん)幢が憤怒の形相で口から火を吐く。無罪であれば左の慈悲深い天女のような黒闇天女(こくあんてんにょ)幢が白蓮華の芳香がただようという。 まさに閻魔さまは私たちの一生を全てお見通しなのだ。他人は騙せても自分だけは騙せないように、この二つの顔は人の善悪を感知するのだが、自身の心が映し出されている鏡のようであると思った。 当像は閻魔さまの寺、建長寺向かいの「円応寺」が所蔵しているものだが、鎌倉国宝館に寄託されている。久しぶりに訪ねた鎌倉国宝館であったが凛として立ち並ぶ御仏をゆっくり拝すると新鮮味を感じた。やはりその時の自分によって観るものが違ってみえるのだ。鎌倉国宝館は災害から文化財を守ることが主な目的として建てられたそうだが、こうして素晴らしい御仏に出会える喜びは格別だ。 最近なんとなく死というものを考えるようになった。悔いなく健康寿命を大切にして思いっきり生きたい。良くも悪くも正直に嘘のない生き方をしたい。閻魔大王にお会いするのはまだ怖いが少し楽しいような気もしてきた。
両頭共寄木造、玉眼、彩色。総高98・3㎝。鎌倉時代。


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山ノ内の八雲神社

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北鎌倉の町風景

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安倍晴明石

かまくらの不思議を歩こう⑫

山ノ内・八雲神社 大貫昭彦

*四境祭の地 円覚寺のある丘の北に八雲神社があります。室町時代、関東管領の上杉氏が創建した社ですが、神社になる前から祈りやお祓いをする特別な場所でした。町に疫病が流行ったりすると、鎌倉幕府は、陰陽師に病魔退散の四角四境祭を行なうよう命じました。四角は幕府の東西南北の四隅で、四境は町はずれの地です。多くの場合、東は六浦、南は小坪、西は稲村ヶ崎、北は山内で、ここに祭檀を設けて儀式が行なわれました。山内は八雲神社の地です。
*パワースポットの条件 神社へは駅の下りホームの裏から上る参道がありますが、長くて急な石段です。円覚寺や洞門山トンネルから行くことをお勧めします。境内に立つと北鎌倉の町の風景が広がり、疲れを忘れさせます。目の下には駅のホームが横たわり、その向こうに台山の緑に抱かれた家並みが上品な風景をつくっています。アクセントは中心に北鎌倉女子学園の校舎、左にはふっくらした東慶寺の宝蔵の瓦屋根、右手には光照寺の青い屋根がそそり立っています。冬晴れの日なら遠く雪の富士山が望めます。地霊やパワーの潜む場所には共通点があるように思います。心に届くものがある。例えば森が豊かである。巨木がどんと鎮座している。歳月を経た社殿が悠久の歴史を醸している。社殿が新しくても地元の人に大切にされている様子が見える。掃除が行き届いて清らかである。八雲神社のようにいい景色の中にあることもパワーの地の条件の一つと思われます。蛇足ですが、負のパワーはこの逆の場に潜んでいる…。
*都市の守り神 八雲神社の祭神は、疫病退散に威力を発揮するという素蓋鳴尊です。大都市京都を守る祇園神社の神です。山ノ内は建長寺、円覚寺など禅寺が並ぶ寺町ですが、足利公方の時代になると、馬の市なども開かれる庶民暮らす町にもなり、さらに繁栄しました。それで都市を守る神社が必要になったのでしょう。 境内に入ると、石造の鳥居が立ち、奥に彫り物の豊かな社殿が見えます。左右に石灯籠と天水桶が並び丁寧な構えです。大根師が指示したパワーの出ている所は社殿の前、やや左に寄った所でした。最初の社殿はこの位置にあったのかもしれません。
*陰陽道の君主「安倍晴明」 境内の北側にある台地にも鳥居や修験道の石碑が立っています。大根師の言では、アースパワーは石碑の下にある石からも出ているそうです。 鳥居の下には、晴明石が横たわっています。しめ縄を張り、「安倍晴明神君」の札が立っています。晴明石については前回紹介しました。以前は十王堂橋近くの道路にあって、鎌倉の内外を分ける目印、また魔物の侵入を防ぐ呪いの石とされてきましたが、60年ほど前、交通の妨げになるとして移されたのでした。 安倍晴明は平安時代の陰陽師で、「今昔物語集」に前世と未来を見抜く力を持ち、式神という鬼を使ってライバルとの祈り合戦に勝った話が載っています。藤原道長の危機を救った人物としても知られています。
*晴明に守られる町 北鎌倉は、昔は上中下3つの町に分かれていたそうですが、それぞれの町に晴明の名を記したものが見られます。下町には晴明石、中町には浄智寺先の踏切そばの碑、上町には建長寺の手前にある第六天社の碑です。安倍晴明に守られた北鎌倉、なんとも羨ましい町です。


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ヨウ素剤配布に400人

鎌倉の市民団体が実施

原子力災害が起きた際に甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤の配布会に希望者を募ったところ、約330家族の申し込みがあり、2月25日鎌倉市福祉センターで自主配布が行われた=写真。子ども連れの若い世代の参加者が目立ち、約1300人・一人5回分の1万1千丸が配布された。 鎌倉の市民団体「ぐるうぷ未来」が、フォトジャーナリスト・広河隆一さんを代表にヨウ素剤の配布活動に取り組む「DAYS救援アクション」や医師・看護師らの協力を得て行った。広河さんは、チェルノブイリや福島などの原発の救済活動をしていて広河さんの制作映画を昨年4月、ぐるうぷ未来が上映したのをきっかけに今回の配布にいたった。 配布前に、安定ヨウ素剤を飲むのは、放射能ヨウ素が甲状腺に入ってくるのを防ぐためということ、飲む時期は被爆する24時間前がよいこと、飲む量、副作用などの説明があった。広河さんは「自分たちの体は自分たちで守るしかない」と強調し、活動の広がりを訴えた。市民による配布会は昨年千葉県であったが、今回ほど大規模に行われるのは初めてという。来場者たちは医師の問診を受けて薬を受け取った。 ぐるぅぷ未来は、市民全員が被爆前に飲めるよう市備蓄のヨウ素剤の事前配布を鎌倉市に求める署名を集めている。


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東日本大震災から7年

宗教超えて鎮魂の祈り
大仏殿で追悼・復興祈願祭

東日本大震災追悼・復興祈願祭が3月11日、鎌倉大仏殿高徳院(鎌倉市長谷・佐藤孝雄住職)で行われ、鎌倉の神道、仏教、キリスト教の宗教者ら約120人が大仏の前に集まった大勢の人々の前で祈りを捧げた=写真。震災発生の午後2時46分、全員で黙祷を行ったあと、神道の大祓詞斉唱、キリスト教の聖書朗読や讃美歌の斉唱、仏教の読経が行われた 合同祈願祭は三宗教関係者で構成する「鎌倉宗教者会議」の主催で、震災の年から始められ今年8回目。佐藤住職は「鎌倉の心は被災地にあるというメッセージが届けばいいと思う」と話した。


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祈りこめた1千基

浄光明寺で万灯会

「世界平和」「被災地再生・共生」などの文字が書かれて奉納された万灯にろうそくが灯され、暗がりの中に浮かび上がる=写真。 東日本大震災の追悼と被災地の復興を願い万灯会が鎌倉市扇ガ谷の浄光明寺で行われ、約1千基の万灯が捧げられた。「鎌倉十三仏詣実行委員会」の主催で、震災の翌年から行われている。 万灯が並べられたお堂で臨済宗、浄土宗、日蓮宗、真言宗の読経が行われ、最後は約30人の僧侶が合同で読経し、焼香の人々が途絶えることなく列をつくった。


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元女川中学教諭が講演

鎌倉大船RC

鎌倉大船ロータリークラブ(日向達藏会長)が東日本大震災での教訓を後世に伝える取り組みの一環で3月10日、「第2回東日本復興支援講演会」を鎌倉女子大学で開いた=写真。 講師はスマートサバイバープロジェクトの佐藤敏郎さんで、東日本大震災当時宮城県女川第一中学校に勤務していた。震災後、佐藤さんは生徒たちが俳句づくりの授業でつくった作品や、震災の話をすることで生きているのが楽しいと感じられるようになった東松島の16歳の語り部を紹介し、「防災とはあの日を語ることで、それが失われた命を未来につなげることになる」と話した。 児童74人が犠牲になった大川小学校で小学6年生だった次女を亡くしたことについて「校庭に敷かれたブルーシートに子どもたちの遺体が並べられていた。あんなことは二度とあってはならない」と訴えた。   そして「想定外の事態が起こった時、判断・行動を起こすには訓練を重ね、習慣にするしかない。あの日あの場所にいたらどうしていたのか、自分の事として考えてほしい」と呼びかけた。


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津波の避難訓練

京急バスと葉山町

京浜急行バス(本社東京都港区)と葉山町が3月9日、運行中に津波警報が発令されたことを想定した避難訓練を行った写真。 訓練には京急バスの各営業所と葉山町から約40人が乗客役として乗車。JR逗子駅から葉山へ向かう路線バスが県道207号線を走行中、津波警報が発令され、無線で乗客を避難させるよう指示が出されると、運転手は清浄寺のバス停で停車し高台にある避難場所の諏訪神社に乗客を誘導した。車いすの乗客には乗り合わせた人に協力を求め担ぎあげた。 バスの運転手蒲谷茂さん(61)は「なかなか思うようにはできなかった。案内がもっと丁寧にできればよかった」と振り返った。


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木版画 藤本宿

谷戸の風(56)

乱世の春  山 内 静 夫

今年の冬は寒かった。朝晩身が縮まるような寒さを感じた日が何日かあった。早くそこから脱出したいとそればかり願っていたが、いつのまにか、一ヶ月ばかり暦が過ぎて、アッという間に、話題は桜の開花日の予想になっていた。 日付までは覚えていないけれど、真っ先は四国の高知で、三、四日遅れて長崎、熊本あたりが名乗りをあげた。 東京は、靖国神社の染井吉野が基準木になっているようで、そこで四、五輪花をつければ東京の開花宣言となるそうである。東京都の職員であろうか、中年のおじさんが三、四人頭上の桜の枝を見上げながら、尤もらしい顔付きでうなづき合いながら「ただいま開花しました」と宣言するというまことに古式豊かな、桜の花が開くという華やかさに相応しくないセレモニーをテレビで見たばかり。自然の営みの何と大らかに、ゆったりと美しいのと較べると人間社会全体の営みのなんと混乱、猥雑なことと憶わざるを得ない。 森友文書書き換え問題、レスリング栄強化本部長パワハラ事件、大相撲若不祥事等々枚挙に遑ない程嘘とインチキに満ち満ちているように見えて仕方がない。 特に政治の世界は嘘と誠がからみ合ってどこに真実があるのか、一般の社会の人間には容易に見分けが出来ないから何とも不思議でならない。私たちには関係のない世界などと知らん顔をしていたら、とんでもない程大損を蒙っていると知るべきであろう。 一条の光―パラリンピックの選手たち就中(なかんづく)、転倒しながら立ち上って銀メダルとなった選手の闘志。頭がさがる。


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柳田国男(左)と折口信夫=「新潮日本文学アルバム」より

文学つれづれ(160)

翁と乙女(三) 赤羽根龍夫

折口信夫は翁の源流を尋ねて沖縄へ行き、海の彼方からくる先祖神の「あんがまあ」や「赤また・黒また」に出会い、「実感の学問」として「翁成立の暗示」を受けるのである。結論的に言えば、翁とは異郷から訪れてくる祖霊である。 日本民族の神は「まれびと」として大昔に海の彼方の常世の国から来たのであるが、後に山の彼方の異郷から訪れると考えられるようになり、さらに山の神としての資格をもった地主神になっていった。そして地主神が村人の祖先崇拝と結びついて翁または媼(おうな)という形に固定していったというのである。 『翁の発生』で翁さびを翁舞と考えた折口は、後に「異人と文学と」「翁舞・翁歌」で、老いを嘆くわび歌についての考察を深めていった。すでに柳田が『古今集』に出て来る老いを嘆く歌について簡単に触れており、折口もそれを受けて『翁の発生』では「古今集の雑の部にうんざりする程多い老人の述懐」と云い、柳田では単に若者の結婚の媒介のためであるとされていたのを、翁舞の歌であると深めていったのであるが、さらに翁さびを「日本文学のあわれの世界」にまでその境地を深めていくのである。 耳を尖らし眼を丸くしたミミズクの様に新しい学問を築いていった柳田国男は、前述のように35歳ですでに翁さびた、慎み深い老人像というものを抱いていたのであり、彼自身が自ら望んだような、世の尊敬を受けた慎み深い老年を迎え、各界の人々から「柳田翁」と敬愛された。 私はひそかに、折口は柳田のそうした翁さびた姿ががまんならなかったのだと思う。折口は柳田のような老人にはなりたくなかったのだ。いや、なりたくともなれなかったのであろう。折口は成熟を拒否し、最後まで年はとっていっても若くあり続けることを望んだのである。「若者よりも、老人の方が若いのだ」。この逆説を彼は生き続けようとしたのであり、それこそが、老いということの秘密であると私は考えている。最後に触れるが川端康成の文学の秘密もそこにある。 『古今集』の雑(ぞう)の部に、20首あまりも老いを嘆く歌が並んでいるが、折口によると古今集の年若い選者たちが、それらの「わび歌」を選んだ理由は、彼らがそれらの歌に「馴れと味わい」とを持っていたからであり、繰り返し繰り返し世々の老人たちが歌った翁歌は、若い人をも嘆かせるまでに、その当時すでに一境地を日本文学の「あわれ」の世界に開いていたのである。 どの歌も、老いを嘆くと言うよりも、わび歌をもてはやす世になってから、よい気になって、気のよい事を言っているように見える。それでもやはり、多くの若者たちに向かって、心おくれを感じながら、洗練させられた心を誇りに詠んでいる趣きに見えぬではない。 折口はこれらの歌の起源は、もともとは常世からきた「まれびと」としての翁が人々に対し誇らかに歌った饗宴の歌であると言うのである。これは柳田の、老人の犠牲の歌という発想に対し180度の転回であろう。 神楽や催馬楽にあるまれびととしての翁が、迎えてくれた家をほめ、水をほめ、酒を讃える「まれびとの歌った饗宴の歌」も民俗が分化して老人に対するまれびととしての尊敬が薄れ、老若対立と云った気分が出てくると、若者中心の儀式などでは、まれびとの感情はなくなってくる。それでかえって老人の優越感が盛り上がって「わび歌」が歌われるようになったという。柳田のいう老人を大切にしなくなった時代に、「今の若いものはだらしがない。自分の若い頃は…」と気張ってみせたということであろうか。
(神奈川歯科大名誉教授)


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関東大震災の記憶克明に

葉山しおさい博物館で写真展

関東大震災発生直後の被害の様子を伝える写真展「関東大震災95年目の記録」が4月22日まで葉山町一色の葉山しおさい博物館で開かれている=写真。 関東大震災の実態を伝える約70点の写真のほとんどは当時「絵葉書」として作成されたもので、テレビがなかった時代には被害状況を伝える役割があったとされている。国技館や歌舞伎座付近、火災で建物だけが残った銀座の三越呉服店、東京駅や品川駅前で逃げ惑う群衆の姿など、地震と火災による都内の壊滅的な被害の実態が伝わる。 4年後に同じ場所を定点撮影したものもあり、日本橋や銀座などの復興の過程も伺える。近隣では葉山御用邸の車寄せの崩落や歪んだ森戸橋、横須賀市街の様子など当時は軍が撮影を禁じていた同地域の貴重な記録も。 同館は「葉山には都内通勤者も多く、今回は都内の被害状況に重点を置いた。関東大震災を知らない子どもたちにも伝えたい」と話す。入館無料、但ししおさい公園の入園料が必要。大人3百円、小人150円。 8日の13時30分、関東大震災を最新の科学で読み解く「サイエンスカフェ」を園内の潮見亭で開催。
問い合わせ同館 046・876・1155


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被災地舞台のミュージカル

「いのちてんでんこ」鎌倉で

「被災地から未来へ、いのちの伝言~ミュージカル『いのちてんでんこ』」が3月10日鎌倉芸術館で上演され、2回公演で約7百人が観劇した=写真。 鎌倉市内の被災者支援団体などで作る湘南鎌倉防災ドラマ実行委員会と岩手県大船渡市に拠点を置く制作会社みんなのしるしの主催。3年前(2015年6月)に続き、2回目の一般公演で、今回は三陸の郷土芸能、金津流獅子躍の出演や宮城県七ヶ浜から子どもミュージカルグループNaNa5931と鎌倉から紙芝居師なっちゃんがオープニング出演した。 湘南鎌倉地域の子ども達が制作を手伝ったお面を劇中で使用したり、外国人の観劇を想定して英語字幕も導入された。ミュージカルは被災した若者を中心に、自然の美しさや怖さとともに、伝統文化を通して人と人の結びつき、コミュニティの大切さを伝えている。 観劇した人から「すばらしかった。震災の事を忘れてはいけないと改めて想い出させてくれた」と感想があった。
(上演実行委員会 岡宏)


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新刊 『「明星」初期事情 晶子と鉄幹』

尾崎左永子 著

今年は与謝野晶子生誕140年に当たる。20世紀の幕開けを待つ1900年に与謝野鉄幹率いる東京新詩社から創刊された機関誌「明星」は、晶子がその若き才能を鉄幹への恋心とともに開花させる舞台となった。本書は鎌倉在住の歌人で作家の尾崎左永子氏が長年ライフワークとして各所で発表してきた「明星論」の中から、明星十八号までの初期の時代に焦点を当てた論考を集める一冊。 名プロデューサー鉄幹が自らのもとに集まった乙女たちを旗手として目指した短歌の革新、交錯する恋と友情、アール・ヌーヴォー調の表紙デザインがアルフォンス・ミュシャの絵画を模していたことなど、鉄幹や晶子らの「暁の明星」ともいうべき時代の香気を百年後の女流歌人が丁寧に読み解く。情熱的で奔放とされる晶子の底流をなす古典「源氏物語」に著者自身の思いを重ねた講演録や、生前の晶子から教えを受けた詩人堀口大學との逸話が紹介される対談も。
2800円(税別)、青磁社刊 075・705・2838


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「ひと」
ドローンの市民生活への普及に力を入れる

青栁正紀(あおやぎまさのり)さん

緊急物資の運搬から農作物の成育状況確認までさまざまな分野で活躍している小型無人機ドローン。そのドローンを鎌倉で有効、安全に活用できるようにと、一般社団法人「鎌倉ドローン協会」を設立、代表理事として普及に奔走している。 協会は昨年6月に発足、災害が起きた時にドローンを使って情報収集する協定を鎌倉市や鎌倉、大船両警察と結んできた。これまでにテロ対策訓練や文化財保護の消防訓練などに参加し、訓練状況を撮影するなど先ずは順調なスタートを切った。 東京に生まれ育ち、1978年七里ガ浜に。「先進性のあるものに興味を引かれる性格」で、ワープロ、パソコン、クレジットカード、バーコード、そして今はドローンと、新しいものに常に投資してきたという。 20数年前に趣味で写真を始め、当事はまだ珍しいホームページを立ち上げた。「鎌倉ナビ Landscape KAMAKURA」。鎌倉の四季折々の風景、イベントを写真におさめ、アップを続けている。鶴岡八幡宮などから行事の写真撮影を頼まれる。 ドローンに注目したのは写真のおかげでもある。写真は撮影していると「もう一歩前で撮りたい」という欲がでる。「そうだドローンを使えば」と思いついたという。でもいじっているうちにドローンは動画撮影にすぐれていることが分かった。そして、行政がドローンを必要とする時がまもなく来るという考えに至り、必要性を市役所に訴えた。 協会はドローンを業務用9機と、重さ200g未満で室内でも操縦できるトイドローン6機を所持している。プロの操縦者(パイロット)は6人。長野県諏訪湖や木曽まで出掛けクローンを飛ばし、操縦技術をさらに磨いている。 パイロットの育成も協会の大きな柱の一つだ。夏休みには学校の体育館を借りて、学童にドローンの飛ばし方や心構えを教える計画だ。 カントリーミュージックが好きで、鎌倉・ナッシュビル友好協会で月2回カントリーダンスを楽しんでいる。 母と妻と長男との4人暮らし。七里に移り住んだのは母のたっての願いからだった。その母は106歳に。「手押し車を押しながらですが歩くこともでき、元気に生活しているんです」と顔をほころばせて語る。
(文・写真 三浦準司)


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健康百科通信(106)

歩けなくならないために
  日本整形外科学会専門医 田邉巌

私の整形外科医院に通ってくる高齢の患者さんのなかには、痛みも神経麻痺もないのに段々歩けなくなってくる患者さんがいます。 その方に、「運動をしていますか?」と訊ねると、「はい、毎日1時間散歩をしています」、「毎朝ラジオ体操をしています」などといった返答をよく受けます。 残念ながら、ゆっくりとした散歩は筋トレにはならないし、ラジオ体操は準備運動ですので、寝たきり予防にはなりません。運動器の障害が無くても、人間の骨格筋の量は50歳以降1年に1~2%ずつ減少していきます。そして筋肉が体重を支えきれなくなると歩けなくなるいわゆる「サルコペニア」という状態になってしまいます。 歩くために重要な筋肉は大腿四頭筋、すなわち太ももの筋肉です。これを鍛えるためには、すこしきついなと感じるくらいの強度の運動を、回数は少なくて良いので、ゆっくり時間をかけて行うことが必要です。例えば、スクワット運動なら1回に10秒位かけて5~6回を1セットとし1日3セットです。 もう一つ大切なことは、筋肉を作る素になるタンパク質を適度に摂ることです。腎臓機能に問題が無ければ、体重1㌔当たり1日1・2~1・5㌘の摂取が理想とされています。 いつまでも自分の脚で歩けて、健康寿命を伸ばす為にも、筋トレを是非お勧めいたします。

田辺整形外科院長
鎌倉市大船2―18―20
0467・44・5290


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一葉女史の墓

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鎌倉市鏑木清方記念美術館入り口

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朝涼

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朝夕安居 昼

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朝夕安居 夕(部分)

今に通ずる絵心満載の日本画家

鎌倉市鏑木清方記念美術館

画家の旧居がそのまま美術館に…。閑静な住宅街の中にあり、心穏やかに清方作品を鑑賞できるくつろぎの場、鏑木清方記念美術館(真室佳武館長)。同館を管理運営する公益財団法人鎌倉市芸術文化振興財団の箕輪智子さん(副館長)にうかがった。

江戸の美に近代絵画の心忍ばせ

鏑木清方は、どのような経歴をたどり画家の道に進んだのですか。

1878年(明治11)8月31日に東京の神田佐久間町に生まれました。父は東京日日新聞、今の毎日新聞の創始者の一人で劇作者の条野採菊といいます。優れた文人であった父と芝居好きの母の影響で幼い頃から文芸に親しんで育ちました。 父は東京日日新聞の後に自ら「やまと新聞」を創設しましたが、同紙は落語の人情噺が売り物で口述筆記したものに挿絵が添えられていました。 当時は写真がない時代でしたので浮世絵師が新聞の挿絵を描くため、浮世絵師や落語家が家にくるわけです。 人情噺に浮世絵師が絵を添える。その様子を家の中で清方は見ていました。本好きでもあり、絵も好きでした。落語界の名人と言われる三遊亭圓朝や父親の勧めで挿絵画家の道へ進みました。

東京の神田に生まれた画家の美術館がどうして鎌倉に。

戦禍により東京の自宅を焼失し1946年(昭和21)、鎌倉の材木座に移り住みました。そして1954年(昭和29)、今当館のある雪ノ下へ移り住み、1972年(昭和47)に亡くなるまでこちらに住んでいました。

どのような由来からここに美術館が開設されたのでしょうか。

1994年(平成6)、清方の画業と創作の場を後世に伝えるため、ご遺族から鎌倉市に旧居(土地)と作品、資料が寄贈されました。これを受け、市が1998年(平成10)4月に記念美術館として開館しました。

どのようなものが寄贈されたのでしょうか。

収蔵点数は約8700点です。その内絵画作品が約100点、下絵、挿絵スケッチが約2000点で、その他遺愛品、書籍、資料などとなります。

先ほど家庭環境の話をうかがいましたが、その後の清方は。

1891年(明治24)13歳のとき挿絵画家を目指そうと日本画家水野年方のもとに入門し、15歳のとき年方から「清方」という号を授けられました。そして16歳のときには父が社長を務めるやまと新聞に挿絵を描くようになり、19歳になると東北新聞(仙台)に挿絵やコマ絵を描くことで独り立ちをするようになっていきます。23歳のときには当時の若手画家14人ほどと烏合会(うごうかい)という会を結成し、同時に作家泉鏡花とも交流を深めて口絵や装丁を依頼されるなど親交を結んでいきます。丁度その頃から日本画への関心を深めるようになり口絵や挿絵だけでなく肉筆画のほうへ向って活動をはじめました。

挿絵画家から美人画家に

鏑木清方とはどのような画家と見ればよいでしょうか。

清方自身は好んでいませんでしたが、明治時代末からは「美人画の画家」と世間的に見られていました。「日本画の美人画家」ということです。 挿絵画家として出発し、表紙絵などは婦人公論などで女性の美を季節感を取り入れて描き、大変好評でした。ですから挿絵の仕事をしながらもある意味美人画を描いていました。ところが師匠の水野年方が日本画家へ転進してゆくのを見て自らもその道を歩むようになります。その中で明治の風俗とともに女性の美を捉えた絵を描くようになったのが20歳代です。女性の美を捉えて描いている画家のことを美人画家と呼び、そのような画家として見られるようになったのですが、清方自身はそれに晩年まで窮屈さを感じていました。

清方芸術の新しさとは。

ただの風俗画、美人画ではなく明治から遡って江戸の風俗を解釈しなおしたというところに新しさがあります。浮世絵は日常を描きますが、暮らしを過去の文献から細かく取材して、忘れられた人々の暮らしを再現する。昭和の暗い時代を経て忘れていた平穏な暮らしがあったことをきらきらとしたものとして表現したことに清方が評価された点がありました。

どのような進化を。

明治時代は同時代に見られる人々の風俗を描いていました。大正時代に入ると浮世絵の勉強を本格的にしだして、明和から天明期あたりの江戸の風俗を描くようになります。それと同時に美人画の新たな地平を求めて「朝涼」(後述)のような作品を描きだします。女性の美と自然を融合させたような画風の作品を生み出していくようになります。清方は幸せな明治の暮らしが完全に失われたことに哀惜を覚えていました。そして昭和に入ってから明治の庶民の暮らしを美人画として描くようになりました。清方作品の新しさは、世の中の人が清方作品によって日本画の美に気づかされた、ということでしょう。また、写実に徹底してそれを己のものにしたということで、「朝涼」にその成果がよく現れています。

清方作品が好まれる所以は。

清方の絵の中に我々が忘れてしまった昔の感覚が息づいているからでしょう。かつての生活感、穏やかな暮らしの情感が醸し出されているところに心地よさを感じてくださる方が多いようです。

女性をたくさん描いているというのは。

江戸の美は女性の美を取り上げたものが数多くあります。その伝統を自分のものにしようとした。清方の絵は、女性の美を描きたかったから女性を描いたわけではなく、季節の美を描きこむところから始まります。自然の美の中に人間の生活の美を描きたい。そこで登場するのが素材としての女性でした。

開館20周年 生誕140周年

作品で見所紹介を。

当館の代表的な収蔵作品の中から「朝涼」、「一葉女子の墓」、「朝夕安居」(昼、夕)を紹介します。
「朝(あさ)涼(すず)」(1925年・大正14年作、20周年記念特別展に出品)は、当館案内パンフレットの表紙を飾る作品で、モデルの女性の写実に徹底している点が見所です。左向きの姿ですが右側の眉毛の立体感も描き込まれ、清方の人物表現に対する徹底したこだわりが見られる作品です。モデルは17歳の自分の娘(長女)ですが、髪をさわる幼いしぐさから父親の愛を感じさせる作品です。
「一葉(いちよう)女子(じょし)の墓(はか)」(1902年・明治35)は、清方が泉鏡花の随筆「一葉の墓」という作品を読んで当時築地にあった墓に詣でたのがきっかけです。清方はその当時一葉の小説に絵を描けるような画家になりたいと思って修行に励んでいましたが、一葉は24歳で夭逝してしまってその夢がかないませんでした。そして墓参りをしたとき墓の前で一葉の小説「たけくらべ」の主人公美登利が一葉自身の墓に寄り添う姿が目に浮かび、その発想からこの作品が描かれています。清方の一葉に対する敬愛の念が非常に色濃く現れている作品です。
「朝夕(あさゆう)安居(あんきょ)」(1948年・昭和23)のうち昼の場面に描かれている風景は、明治時代の銀座です。風鈴売りが日差しがじりじり照りつける正午頃屋台の中にもぐりこんでキセルで一服している。夏の日差しの暑さをどう表現しようかと突き詰めていったときにこのようなシンプルな絵になった。絵を見るだけで夏の暑さが感じられるのが見所です。「夕」(部分)は、八丁堀の町内の今で言うカフェのような場所の風景です。麦湯を売る女たちが男性たちの世話をしている。男性たちは世間話に花を咲かせ納涼台で涼む男性は物思いにふけっている。そして辻占いの少女が家路に。清方の幼少の頃の心象風景を描いており、まさしく明治の下町風景そのものです。日々の暮らしを描いている清方の傑作中の傑作です。

今年は開館20周年ですが。

特別展「開館20周年記念 鏑木清方の芸術展」(4月20日~5月23日)を開催します。清方の幅広い創作活動について紹介し、季節の美が伴う日本画作品のほか挿絵画家の頃の画業も交え、清方芸術をご覧いただきます。初日は、皆様への感謝を込めて無料観覧日となります。ぜひこの機会にお越しください。 清方は今年生誕140年となりますので、5月26日から7月1日まで「清らかに、うるわしくー清方の美人画」と題して特別展を開催します。
◎開館20周年記念講演会「最後の絵師・鏑木清方―追憶の江戸・回想の明治」(4月23日午後2時30分)、講師は明治学院大学山下裕二教授。残席わずか。
◎開館20周年特別イベント 美術館で落語会!(6月5日)春風亭柳橋師匠を迎え落語と対談の2部構成。5月1日午前9時から電話受付。

ほかの催しは。

・日本画製作実演(5月5・6日)。今活躍中の日本画家による製作実演。
・日本画ワークショップ(5月19日、6月17日)。日本画材を使って絵を描く。(要予約)
・鎌倉のあじさいと清方作品鑑賞(6月16・23・28・30日)駅から美術館までの小道に咲く花の名所をたどり、清方のあじさい関連作品を鑑賞。

どうもありがとうございました。

鏑木清方記念美術館
鎌倉市雪ノ下1―5―25
0467・23・6405


鎌倉朝日新聞社

てらハウスへどうぞ

いざっ!!鎌倉てらこや(45)

みんなが形作るてらこや
NPO法人鎌倉てらこや事務局スタッフ 豊田 晋

今年も鎌倉大仏殿高徳院様で「てらこや感謝祭」が開催された。「てらこや感謝祭」とは、2017年度の活動成果報告や大学生スタッフからの現場報告を通して、鎌倉てらこやにご協力、ご尽力いただいている皆様に、日ごろの感謝をお伝えする会である。 今年の「てらこや感謝祭」は世代や立場を超え多くの方々が参加してくださった。改めて、鎌倉てらこやを支えてくださっている方の多さに驚かされた。 出席された方々は、場所を快くお貸しいただいているお寺さん、鎌倉ならではの体験を届けてくれる講師の方々、活動に賛同しご寄付くださった企業さまや地域の支援者の方々、日ごろから活動でお邪魔する学童保育施設の支援員の先生方、日々の活動へ送り出している保護者の皆様、活動を盛り上げてくれるOBOG、と多種多様である。 活動報告の後に、出席された方から感想をいただいた。ある学童の先生は「私たちが救えない層と関わってくれている、嬉しく感じる」と、喜びの言葉、また、てらこやの創設から関わっている方からは、「15年間見てきているが、素晴らしい活動だと感じる。これからも続けていってほしい」という言葉があった。 たくさんの方々の想いが多様な支援に形を変え、最後に大学生から子どもたちへ帰着していく。 大学生が子どもと出会い、「てらこや」の活動が届いていくまでに多くの方々の想いや願いが込められているのだ。直接子どもたちと関わる大学生だけがてらこやを作るのではなく、てらこやを支える多くの人々の想いがてらこやを形作っていくのである。 一回一回の活動の尊さを深く心に刻み付け、一人でも多くの子どもたちに活動を届けるべく誓った「てらこや感謝祭」であった。

鎌倉てらこや事務局
0467-84-9746(平日13~17時)
http://kamakura-terakoya.net/


鎌倉朝日新聞社

『東日本大震災の報告書』(2012年3月刊)

心のふる里を行く ⑨

ふる里と日常の喪失に向き合って 池田雅之

東日本大震災が起こってから7年が経過した。2011年3月11日、午後2時46分に大地震と津波が、東北地方をおそった。死者は2万人に及び、未だ行方不明者は2500人を数えるという。当日、大学の研究室の本はすべて落下したが、二人の助手と私は机下に逃げ込み事なきを得た。 今年の3・11はどこへも出かけず、卒業した元ゼミ生たちにラインで2時46分に一分間の黙祷をしようと呼びかけた。 被災地には徐々に新しい商業施設・民家・災害公営住宅が建てられ、「新しいふる里」が次々と生まれている、とある新聞は楽観的に報じている。確かに復興は進んでいるのであろう。しかし、肉親や仲間の死に直面し、ふる里という共同体となじんできた日常生活を一瞬にして失うという悲惨な体験は、言語を絶する惨事である。破壊されたふる里の町がたとえ復旧されたとしても、それはもはや「ふる里」とは呼べないのではなかろうか。 こうした未曾有の大震災が起こってみると、人間にとって最も大切なものとは何か、という問いが突きつけられている思いがする。それは3つあるように思う。まず愛する家族や友人とのきずなであり、その人間関係を育む土地の力(郷)であり、またなにげない日常生活の営みであろう。東北の被災者の方々のように、この共同体を支えてきた3つの要素が一挙に失われた場合、どのように生きていったらよいのであろうか。生き抜くことは可能であろうか。この大震災は人間から何を奪ったかを、日々私たちに問いかけているのである。 震災1年後の2012年3月11日に、『東日本大震災をどう受け止めたか―3・11以後、日本再生への道』という冊子を編んだ。私はまえがきに「これからすべてを忘れないこと。今も、これからも、我々の背後には死者たちがいる」という池澤夏樹の言葉(「春を恨んだりはしない」(中公文庫)を引いた。 この大惨事を記憶にとどめることは、死者と行方不明者への鎮魂という祈りの行為となるだけでなくこの震災をどう受け止め、どう語り継いでいくのか、人間にとって最も大切なものとは何かを、語り続けていくことにあるように思われる。
(早稲田大学名誉教授・鎌倉てらこや顧問)


鎌倉朝日新聞社

鎌倉市倫理法人会 通信

「いざ、鎌倉!」49 歴史と伝統のある鎌倉を梁山泊に!
 第5回東日本支援チャリティーコンサート
 鎮魂と祈りの音色~TSUNAMIヴアイオリン

あの甚大な被害をもたらした東日本大震災から7年が過ぎました。一部の避難地区解除の動きはありますが、被災地の復興はまだまだの状況です。鎌倉市倫理法人会では、震災の記憶を風化させないように今年も追悼と復興の祈りを込めた「第5回TSUNAMIヴァイオリンチャリテイーコンサート」を開催します。
「TSUNAMIヴァイオリン」は東日本大震災の津波で流された陸前高田市のリュ牧などから作られたました。演奏者は鎌倉の誇るヴァイオリニスト松宮麻希子さん。震災で亡くなられた方々に捧げる鎮魂の素晴らしい音色をお聴きください。 コンサートの収益金は、震災で両親を失い孤児となった子供たちの支援活動資金として「鎌倉てらこや」を通じて活用させていただきます ▼日時 6月2日(土)午後2時開演
▼会場 鎌倉女子大学二階堂学舎(鎌倉駅より京急バス杉本観音下車)
▼第一部マジック・ショウ(鎌倉マジシャンズクラブ有志)第二部TSUNAMIヴァイオリンコンサート=ヴァイオリン・松宮麻希子、ピアノ・デュオうさくま(杉山泰&宇治田かおる)
【松宮麻希子 プロフィール】桐朋女子高等学校音楽科を経て桐朋学園大学音楽学部を卒業。新日本フィルハーモニー交響楽団 第 1ヴァイオリン奏者。桐朋学園大学付属「子供のための音楽教室」鎌倉、横浜教室講師。鎌倉音楽クラブ会員。
▼共催 鎌倉てらこや
▼後援 鎌倉市教育委員会、鎌倉女子大学、鎌倉マジシャンズクラブ、みらいふる鎌倉、神奈川県宅地建物取引業協会鎌倉支部など。
▼料金 3千円、前売2800円。
鎌倉市倫理法人会事務局
▼申込 0467・22・8537 0467・22・8506(ガソリンスタンド・マツヤ)
▼問い合わせ鎌倉市倫理法人会事務局
045・315・2433
045・315・2434



終の棲み家を考える48

地盤改良

家を建てる時、一番気を付けなければならないのが地盤です。基礎の下で、基礎を含め建物全体を支える台地です。いくら丈夫な基礎を作っても基礎そのものが傾いてしまったら取り返しがつきません。その為に基礎の下、台地を強くする事が地盤改良です。 工法は幾つか有りますので納得する工法を選ばれると良いと思います。軟弱な土を全部掘りだして新たにしっかりとした土を入れる方法。軟弱な土とセメントを現場でかき混ぜて固い土に作り替える方法。現場で土に大きなドリルで穴をあけて、その中に砂利を押しこんで、砂利の柱を作る方法。現場で土に大きなドリルで穴をあけ、液状のセメントを流し込み、土と混ぜ合わせ柱を作る方法。鋼鉄製の丸いパイプを回転させながら固い層迄ねじ込む方法―等色々ありますが、費用や敷地の大きさ、機材搬入路の確保の問題等、検討しなければならない事があります。何しろ大事な事は家全体を支えられるだけの固い層迄、砂利にしても、セメントにしても、鋼管にしても基礎から繋がらなければならないという事です。そして初めてどの様な基礎にするか、建物をどの様にするかを検討すべきだと思います。 家を建てる時、地面下の目に見えない所にお金の掛る事を知ってください。

日向建設
鎌倉市大船1―15―3
0467・47・5454
http://www.hyuuga.co.jp/


鎌倉朝日新聞社

だんかづら

浜松からやって来た、狩猟犬・ケアンテリアの「オト」=写真左。ご主人に忠実で優しく、勇敢!娘「ミオ」は母の愛を豊かに受け、すっかり甘えん坊さんです。
山ノ内 畠中さん方


鎌倉朝日新聞社

画廊・ギャラリー

●ギャラリー一翠堂 22・3769
4月5~10日高梨良子 硝子展=写真、12~15日荒尾一義 作陶展、18~22日工藤泰代 atelier bulan中西和歌子展、26~30日HMAEN POP UP STORE展
●宮川三郎油絵展4月3~9日 046・876・8287
逗子アートベース128(逗子1―5―4)マクドナルド隣りビル


鎌倉朝日新聞社
鎌倉朝日新聞社

始めましょう

●鎌倉陶芸教室(材木座)
水~日曜 午前・午後 月1回コース・体験教室あり。
HPも。 24・0288
●ロマンチックパステル画指で描く優しい絵。
第4火曜11時~鎌倉 046・872・2563
婦人子供会館。24日桜の絵1日体験。2千円。田中麻里



お知らせ

●1枚の布で着付けるイージードレス4月~第2火曜、鎌倉生涯学習センター。2千円。
ほほえみドレスの会 046・871・1705
●漁協の朝市4月1日10時、鎌倉パークホテル駐車場。
鎌倉漁協 22・3403
5・19日10時、腰越漁港。
腰越漁協 32・4743
●花祭り法要(大船地区仏教会)4月7日14時、建長寺。
禅居院 22・7974
●ミニ園芸教室4月8・9・14~16・20~23日10時半、鎌倉中央公園。春夏野菜の土作りなど。無料。申込不要。
市公園協会 45・2750
●県立葉山公園/山口蓬春記念館スケッチ教室
4月21日9時45分、葉山公園案内所集合。5百円。要申込。
同公園管理事務所 046・876・4601


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山口蓬春「緑庭」

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水彩画 瀧本貞夫さん

み る

▼川喜多映画記念館
▽企画展「大映映画のスターたち」~6月17日。2百円。
▽映画4月1日「羅生門」、10・11・12・14日「白鷺」、10・11・13日「夜の河」(10日は山本富士子さんのトークも。千5百円)、12・13・15日「祇園囃子」、24~26日「細雪」、27~29日「浮草」。千円。
23・2500
▼秋野不矩 京おどりを描く
4月2~8日鎌倉彫会館Gallery g(33・5715)。同時開催/溝縁ひろし 京の四季芸・舞妓の伝統美写真展。絵画、写真など約30点。無料。
▼鎌倉美術研究所作品展おとなのデッサン/ヌードデッサン教室―ヌードデッサン・水彩画・風景画
4月6~8日11~17時ギャラリーやまご(小町二楽荘前)。
瀧本方 080・5028・7292
▼ブルーノ・ムナーリ―こどもの心をもちつづけるということ
4月7日~6月10日県立近代美術館葉山。画家、発明家など様々な肩書を持つ表現者ブルーノ・ムナーリの回顧展でその表現や思想を体験する。絵本原画、照明器具など約320点を紹介。千2百円。▽同時開催・コレクション展「抽象の悦び」。250円。
046・875・2800
▼図書館に江ノ電がやってくる!
4月8日まで鎌倉市中央図書館。江ノ電の歴史や現在と昔の写真展示、ジオラマ展示など。1・8日14~15時、江ノ電ジオラマでタンコロが走る。無料。
25・2611
▼水と暮らす中世
6月9日まで鎌倉歴史文化交流館。材木座町屋遺跡と北条時房・顕時邸跡からの出土遺物と関連資料を展示。3百円。
73・8501 ▼黒川明水彩画展
4月24~30日鎌倉駅東口のカトレヤギャラリー。鎌倉朝日8面に「スケッチ日和」を連載する黒川明さんの静物画、風景画など20点。無料。(8面にご案内)。
23・2530
▼能を知る会 鎌倉公演
4月29日鎌倉能舞台。10時、那須語(なすのがたり)・屋島など。14時、柑子・景清など。5千5百円。
22・5557
▼映画
▽世界で一番美しい村4月8日10・13・16時、本郷台のあーすぷらざ。ネパール大震災で壊滅した村の復興の姿を捉えたドキュメンタリー。4百円、小中学生百円。
045・896・2121
▽「越後奥三面―山に生かされた日々」4月22日13時半、カジュ・アート・スペース(鎌倉市二階堂57―1)。越後奥三面の人々の生活と閉村にあたる想いを綴った長編ドキュメンタリー。千2百円。
ぐるぅぷ未来 080・1167・6679
▽ウォーナーと平和 映画上映会5月3日14時、鎌倉生涯学習センター。日本の文化財を救った美術家ラングドン・ウォーナーのドキュメンタリー「ウォーナーと謎のリスト」上映と監督の講演。5百円。
市文化人権推進課 61・3870



第60回鎌倉まつり

4月1日 13時半 頼朝祭俳句会(頼朝公報恩会) 鶴岡八幡宮
8日 9時半 弓道大会 鶴岡八幡宮
8日 10時 行列巡行(下馬交差点~八幡宮) 若宮大路
8日 12時 鎌倉まつり開催式 鶴岡八幡宮
8日 13時 2018ミス鎌倉お披露め 鶴岡八幡宮
8日 14時 灌仏会(花祭り)(市仏教会) 建長寺
8日 15時 静の舞(西川翠志萠・鎌倉芸能連盟) 鶴岡八幡宮
13日 10時半 頼朝公墓前祭(頼朝公報恩会) 頼朝公墓前
14・15日 10時 野点席 表千家流 鶴岡八幡宮
14・15日 10時 野点席 裏千家流 大仏殿高徳院
14日 14時 伊豆の国市子ども創作能「伊豆の頼朝」(伊豆の国市観光協会) 鶴岡八幡宮
15日 13時 流鏑馬~武田流(大日本弓馬会) 鶴岡八幡宮
21日 13時 義経まつり(義経まつり実行委) 腰越満福寺

問い合わせ:鎌倉市観光協会 23・3050
http://www.kamakura‐info.jp/


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「もう限界だ~」徳本順一さん

第25回 鎌倉カメラクラブ写真展

(全国写連鎌倉支部)

4月17~22日鎌倉生涯学習センター。
「私の鎌倉」をテーマに、コンテスト入賞作品や組写真など同会員26人の作品約110点。無料。
徳本方 23・7722



春の施設公開

◆扇湖山荘庭園(鎌倉山)6日13~15時、7日10~12時・13~15時。無料。
市都市景観課 61・3477
◆大佛次郎茶亭(雪ノ下)7日10~16時、無料。
鎌倉風致保存会 23・6621<
◆旧華頂宮邸(浄明寺)7・8日10~16時、無料。
市都市景観課 61・3477
◆旧川喜多邸別邸(雪ノ下)7・8日10~16時、無料。
川喜多映画記念館 23・2500
◆吉屋信子記念館(長谷)4月の毎土曜、4月29日~5月6日10~16時と5月の毎土・日曜日。無料。
鎌倉生涯学習センター 25・2030


鎌倉朝日新聞社
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き く

▼オーストリア文化とふれあう音楽とワインの会
Vol.7
4月7日19時、逗子文化プラザ。ピアニスト飛松利子のナビゲートで、音楽とワインを楽しむ夜。
Austria day実行委 046・871・8171
▼第17回みなとみらいアイメイトチャリティーコンサート
4月8日13時半、横浜みなとみらいホール。三浦一馬さんのバンドネオン、石田奏尚さんのヴァイオリン、山田武彦さんのピアノの演奏。2千5百円~。
渋谷方 045・954・2083
▼鎌倉音楽文庫
4月22日15時、鎌倉芸術館。鎌倉縁の文豪たちが聴いた音楽や作品の諸芸術の解説とピアノ、ヴァイオリンの演奏。3千6百円。
同館 0120・1192・40
▼爆笑!特撰落語会
5月7日18時、鎌倉芸術館。出演は桂文珍さん、柳家三三さん、三遊亭円楽さん。2千9百円~。
エイフル企画 03・6240・1052
◆5組10人ご招待 往復ハガキに〒住所・氏名・年齢・ 明記〒110―0016東京都台東区台東4―6―5―7階 エイフル企画「特撰落語名人会」鎌倉朝日係。4月16日必着。
▼湘南グループ日本のうた・歌・詩春のコンサート
4月14日14時、戸塚区民文化センター。歌唱や詩の朗読。「もう春だ」など。2千円。
事務局 045・846・6898
▼チェコ・フィル ゾリステン&染川真弓(ピアノ)
5月27日14時、鎌倉生涯学習センター。来日10周年記念公演。モーツァルト「ピアノ協奏曲第20番ニ短調」など。5千円。
鎌倉市芸術文化振興財団 23・3755



生誕140年与謝野晶子展

「こよひ逢ふ人みなうつくしき」

5月13日まで神奈川近代文学館。
明治~昭和期の歌人・詩人である与謝野晶子の軌跡を、「みだれ髪」と晶子訳「源氏物語」を軸に書簡、原稿などで辿る。
▽記念講演会Ⅰ4月7日。歌人・尾崎左永子さん。「『恋衣』そして晶子と古典」。Ⅱ4月21日。歌人・三枝昂之さん。「近代を創る―鉄幹晶子の五十年」。Ⅲ5月5日。歌人・今野寿美さん。「『みだれ髪』もうひとつの読み方」。各14時、千円。 ▽朗読会4月14日14時。女優・竹下景子さん。「新訳源氏物語」から「桐壷」「若紫」。千2百円。
045・622・6666



まなぶ

▼中村天風心身統一法鎌倉講習会
4月7日14時、鎌倉生涯学習センター。「中村天風の先見したもの」。千円。
天風会認定鎌倉の会 44・4461
▼史跡永福寺跡現地説明会
4月7日10時、史跡永福寺跡南側広場。発掘調査の成果や整備状況などを話す。無料。
市文化財課 61・3859
▼日本の心「なぜ王朝人は猫を愛玩?」
4月7日10時、鎌倉生涯学習センター。民俗学研究家・佐伯仁さんの話。5百円。
自然環境と人間生活を考える会 090・4710・3790
▼平和と憲法の岐路に立って
4月14日13時半、鎌倉商工会議所。渡辺治一橋大学名誉教授が日本の憲法を話す。5百円。20歳以下無料。
鎌倉・九条の会 24・6596
▼渡辺元智氏講演会―渡辺監督流 人の育て方
4月17日19時、鎌倉芸術館。無料。
申込は 24・6464鎌倉青年会議所
25・5538
▼葉山町体育協会講演会
4月21日18時、葉山町福祉文化会館。横浜高校野球部・渡辺元智終身名誉監督の話。無料。要申込。
葉山町生涯学習課 046・876・1111
▼シンポジウム「鎌倉大仏の保存と調査・研究の〝曼荼羅〟」
4月22日13時、鎌倉大仏殿高徳院。同寺佐藤孝雄住職が平成27年度実施の鎌倉大仏の状態調査で判明した事項を講演。無料。
22・0703
▼吉田鋼市氏 講演会
5月13日13時、由比ガ浜公会堂。建築史家吉田鋼一さんが近代建築と匠の世界を語る。15時、鎌倉の名建築を巡る歴史散歩。5百円、散歩3百円。
申込は 45・5731
図書館とともだち・鎌倉 阿曾方 45・5731


鎌倉朝日新聞社

有馬総一朗さん

孫の有馬さんが八洲秀章を歌い継ぐ

「さくら貝の歌」コンサート

5月28日14時、鎌倉芸術館。 「八洲秀章物語」と題して、鎌倉ゆかりの「さくら貝の歌」作曲者・八洲の生涯と歌を、孫でミュージカル俳優の有馬聡一朗さん(43)が、沢木順、吉岡小鼓音、伊東えり、松村美和子さんらと熱唱。 「美女と野獣」「サウンドオブミュージック」等ミュージカルの名曲も。「お子さんでも楽しめるようわかりやすく祖父の人生を伝えたい」と有馬さん。2900円。
オフィスサワキ 44・4401


鎌倉朝日新聞社

甘茶

季節の心(21)

甘茶を注ぐ  佐伯 仁

●幼い日の遠い記憶…
春、待っていた桜は期待通りの微笑を残し、駆け足で北へ一直線…。 浮き立つ心に語りかける春の風物詩は〝花祭り〟でしょう。 4月8日はお釈迦さまの誕生日。クリスマスほどの賑わいはありませんが、江戸の昔からお寺で催される春の行事です。  花で飾った花(はな)御堂(みどう)を境内につくり、誕生仏を水盤に安置し、竹の柄杓(ひしゃく)で甘茶を注ぎます。 母につれられ、恐々(こわごわ)飲んだ甘茶の味は、砂糖とちがうサラッとした甘味だった事は遠い記憶…。 江戸期から両国の回向院、上野寛永寺、浅草寺等で盛んに行われ、夏病(なつやみ)を防ぎ、頭痛も治るという健康上の効用も説かれていたとか…。 甘茶はアマチャ、またはアマチャヅルの葉を乾燥させ作った甘いお茶。 『枕草子』の筆者・清少納言は、削った氷に甘い汁をかけた冷たい味を好んだといいます。当時は贅沢だったでしょうが今なら〝かき氷〟でしょう。 一方、甘茶は調味料の他に江戸期には虫除けの〝お呪(まじな)い効果〟も期待され甘茶で墨をすり、紙に一文字「茶」と書き、押し入れなどに貼ればムカデも蛇も入ってこない、という俗信も江戸っ子の知恵でしょう。
 こどもらも 頭に浴びる
  甘茶かな  一茶


鎌倉朝日新聞社

福間洸太朗さん

福間洸太朗

ピアノ・リサイタル

5月12日14時、藤沢リラホール。 20歳で日本人初クリーヴランド国際コンクール優勝、ショパン賞受賞、海外の著名オーケストラとも共演多数の福間洸太郎さんのピアノでショパン「幻想即興曲」など。4千円、ペア券7千円。


鎌倉朝日新聞社

ブルーノ・カ二ーノさん

ブルーノ・カニーノ

ピアノ・リサイタル

5月26日14時、同ホール。 数々の国際コンクールで入賞、世界各地でソリストとして活躍するブルーノ・カニーノさんのピアノでベートーヴェン「月光」など。5千円、ペア券9千円。
0466・22・2721
※両リサイタルシリーズ券8千円も販売あり。



さんか

▼鎌倉風致保存会の催し
▽みどりのボランティア4月14日建長寺回春院、21日御谷山林。各9時半。▽緑と歴史探訪21日13時。東泉水ヶ谷やぐら群を訪ねて。6百円。
各要申込。
鎌倉風致保存会 23・6621
▼第234回歌のサロン 4月18日14時、鎌倉生涯学習センター。参加型合唱とミニ演奏。千円。
古川方 22・2131
▼ふらっとカフェ鎌倉
食を通じて多世代交流。4月3日レネ、18日ロッシーズ、27日鎌倉静養館、いずれも16時。25日18時、ソンべカフェ。大人4百円、子ども2百円。申込不要。
渡辺方 090・5199・1654
▼鎌倉てらこや
▽てらハウス4月7・14・21日10時、大船の千里ビル。午前学び、午後遊び。千円。▽遊ビバ!8・15・22・28日13~16時、鎌倉海浜公園。大学生と遊び。無料。小中学生と保護者。
84・9746
▼鎌倉歩け歩け協会
▽10㌔ふれあいウォーク4月3日桜を眺めながら台峯へ。27日鎌倉のつつじ巡り。9時50分、鎌倉駅西口時計台。▽5㌔はつらつウォーク6日大船発・柏尾川の桜見物。9時50分、湘南モノレール大船駅。各2百円。
▽ツツジ・新緑・潮騒の葉山道21日8時50分、亀岡八幡宮。5百円。
090・2633・3715
▼鎌倉史跡めぐり
▽光明寺・開山堂で寺宝展拝観、教恩寺特別拝観4月11・12・16・18日9時半、江ノ電長谷駅出口。長谷寺、安養院など。
▽感動の絶景!長柄桜山古墳から富士を望む20・23・25・27日9時半、逗子駅東口。亀岡八幡宮、六代御前の墓など。
各5百円。申込は1週間前までにハガキかFで。
鎌倉ガイド協会 4・6548 24・6523
▼北鎌倉・台峯の緑をともに
▽山の手入れ4月14日10時、山ノ内配水池横。
▽山歩き15日9時、山ノ内公会堂。
北鎌倉の景観を後世に伝える基金・望月方 45・7420
▼第38回清和祭バザー
4月21日10~16時、障害者支援センター鎌倉清和・鎌倉市立植木小学校体育館。バザー、模擬店、アトラクションなど。
46・4891
▼第13回鎌倉路地フェスタ
4月21~30日鎌倉駅周辺から雪ノ下、二階堂のギャラリーや店舗など約25カ所でアート展示やワークショップなど。
事務局 23・3663
▼義経まつり
4月21日13~17時、腰越の満福寺周辺。法要、パレード、慰霊演奏など。無料。
実行委 33・0717
▼逗子ふれあいフリーマーケット(雨天中止)
4月25日9~15時、亀岡八幡宮境内。雑貨・衣類・手造り品など約20店。出店者募集。
片岡方 090・5442・3778
▼第50回慈善茶会
5月19日8時半~15時、大仏殿高徳院。1万円。要申込。
鎌倉青年会議所 25・5538


鎌倉朝日新聞社

いでたつ乙女

万葉集の歌に親しもう

鎌倉万葉集講座 受講者募集

千年を越えて、万葉の歌を言葉そのままに受け止め、共感し感動できるのは万葉集ならではの文化的現象です。ごいっしょに楽しく万葉集の世界を探訪しましょう。 4月から1年間、毎月第3日曜10時~11時半、若宮大路ビル(鎌倉市小町2―12―35)。 参加費月額1200円。講師は菊池威雄さん(元県立衛生短期大学教授)。
カルチャースペース鎌倉 22・1496



鎌倉女子大学生涯学習センター公開講座

コース 講 座 名 日 時 料金・申込
特別 舘野泉ピアノコンサート2018 in鎌倉 5/3 木曜・祝14時会場:二階堂学舎 3,000円
電話申込
『徒然草』を読む(2) ※テキスト希望者は要申込(ハガキ添書) 4/25~7/25 水曜 10回14時20分~15時50分 6,000円
4/2~13
地域の建築再発見(3)‐京の祈り・花と信仰の形 5/11~9/7 金曜5回 14時20分~15時50分 3,000円
4/13~27
イスラームの思索をたどる 5/29・6/26・7/24火曜3回 14時20分~15時50分 2,000円
5/1~15
ドイツの美術教育に親しむ(2) 9/5・9/12・9/19 水曜3 回 13時30分~15時 3,000円
8/8~22
『万葉集』の歌びとたち(9) 5/7~7/9 月曜10回14時20分~15時50分 6000円
4/9~23
中世の史料を読む-鎌倉幕府の記録『吾妻鏡』(29) 5/10~7/12 木曜5回13時半~15時半 3,000円
4/12~26
ヘロドトス『歴史』の世界(8) 4/26~9/6 木曜10回10時20分~11時50分 6,000円
4/2~13
漢字文化と中国書道史-書の魅力を探る(3) 5/17・6/21・7/19木曜3回10時20分~11時50分 2,000円
4/18~5/2
I,J 目と耳で楽しむ音楽史(16) -シューベルトの音楽と生涯 5/25~9/28 金曜4回 I10時半~12時、J14 時~15時半 2,500円
4/27~5/11
K,L 近代ヨーロッパ絵画の魅力(4) -バルビゾン派、写実主義の時代 6/29~9/21 金曜5回 K10~12時、L14~16時 3,000円
6/1~15
動物学講座-肉食の話 6/20・7/18・8/1 水曜3回14時20分~15時50分 2,000円
5/23~6/6
たのしい女声合唱 4/24~7/31 火曜8回10時20分~11時50分 5,000円4/2~13
ロコモティブシンドローム予防運動 9/13・20・27 木曜3回13時30分~14時30分 2,000円
8/16~30
イタリアの家庭料理を作ろう(詰め物パスタ・ラビオリ) 9/4・11・18 火曜3回10時~11時半(11日~12時) 3,000円
8/7~21

◆会場は大船キャンパス◆申込は往復ハガキに希望コース、講座名、〒、住所、氏名・フリガナ、 、性別、年齢明記。◆申込・問合せ〒247-8512鎌倉市大船6-1-3鎌倉女子大学生涯学習センター44・2287



購入新図書のリスト抄

鎌倉市中央図書館(2月分)

鎌倉市中央図書館(25・2611)は2月に一般218冊、児童書20冊を収蔵した。一般的なものは下記の通り。 ▼「大拙と松ケ岡文庫―鈴木大拙没後五十年記念」多摩美術大学美術館編(方丈堂出版)▼「城塞都市鎌倉」北条氏研究会編〈歴史新書〉(洋泉社)▼「続・鎌倉別荘物語―鎌倉の失われた風景」島本千也著(島本千也)▼「足利将軍と室町幕府―時代が求めたリーダー像」石原比伊呂著〈戎光祥選書ソレイユ〉(戎光祥出版)▼「日帰りで行く大人のおいしい街歩き―鎌倉・下町・神楽坂」〈Martブックス〉(光文社) ▼「対立する国家と学問―危機に立ち向かう人文社会科学」福井憲彦編 池内了ほか執筆(勉誠出版)▼「半年だけ働く。」村上アシシ著(朝日新聞出版)▼「維新の影―近代日本一五〇年、思索の旅」姜尚中著(集英社)▼「佐藤栄作―最長不倒政権への道」服部龍二著〈朝日選書〉(朝日新聞出版) ▼「「やらないこと」から決める世界一シンプルな家事―忙しくても家をキレイにしておきたい!」本間朝子著(日本実業出版社)▼「向かい風がいちばんいい」葛西紀明著(河出書房新社)▼「羽生結弦は助走をしない―誰も書かなかったフィギュアの世界」高山真著〈集英社新書〉▼「働く文学―仕事に悩んだ時、読んでほしい29の物語」奥憲太著(東海教育研究所)▼「まど・みちお詩論―ハイデガー哲学の視座から」岡田紀子著(晃洋書房)▼「カズオ・イシグロ読本―その深淵を暴く」別冊宝島編集部編(宝島社)


鎌倉朝日新聞社

4月下旬から見頃を迎えるシャクヤク

日比谷花壇大船フラワーセンター

4月1日リニューアルオープン

昨年7月から改修工事で一時閉園していた神奈川県立大船フラワーセンタ―の工事が完成し、4月1日リニューアルオープンする。指定管理者による管理に移行し、「日比谷花壇大船フラワーセンター」の愛称になる。 主な改修はシャクヤク・ボタンのエリアや花の築山の拡張、玉縄桜18本を植えた玉縄桜広場の新設で、レストハウスにウッドデッキの新設、既存観賞温室の展示スペース化のほか、建物やトイレ、外構柵などの改修で老朽化対策やバリアフリー化が施された。 4月1日はオープン記念で入園無料。芝生広場で午前9時から関係者によるテープカット、10時、音楽コンサート、11時、鎌倉野菜の販売、午後1時、フラダンスステージ、午後3時、植木リトゥル・エコー・アンサンブルのジャズコンサートなどを開催。大船植物園歴史パネル展、ブリザードフラワーレッスン(午前11時・午後2時の2回)ほかケータリングカーの軽食などの販売もある。
問い合わせ同センター 0467・46・2188


鎌倉朝日新聞社

鎌倉桜「桐ケ谷」里帰り

同人会が市内の寺院に植樹

鎌倉同人会は、3月13日、同会創立100周年記念事業の一環で鎌倉由来のサクラで今は鎌倉で希少となっている鎌倉桜「桐ケ谷」を円覚寺と光明寺の境内に植樹した=写真。 同会は1915年に設立した鎌倉で最古といわれる社会貢献団体で、2015年に設立100周年を迎えたのを機に、鎌倉の文化を発信する活動として鎌倉由来のサクラの普及をめざしている。 2016年に鶴岡八幡宮や鎌倉文学館、永福寺跡地に桐ケ谷桜を植えている。今回は、極楽寺に北条時宗お手植えと伝えられる桐ケ谷があることから時宗開基の寺にもと円覚寺と、もう1カ所、桐ケ谷発祥の地域とされる光明寺に植樹し、両寺から〝サクラの里帰り〟として温かく迎え入れられた。


鎌倉朝日新聞社

ポスター最優秀賞

伊藤さん2年連続

「交通安全ポスターデザイン」(全日本交通安全協会・毎日新聞社主催)一般部門A(同乗者を含む運転者向け)で、鎌倉朝日のデザイン担当で平塚在住のイラストレーター・伊藤文人(ふみと)さん(67)の作品が、2年連続で最優秀作の内閣総理大臣賞に選ばれた=写真。作品は春の全国交通安全運動のポスターに利用される。 伊藤さんは「まさかさかさま」の逆さ絵本なども出版している。


鎌倉朝日新聞社

スケッチ日和⑨

「桜咲く」  黒川 明

4月号には桜を描きたいと思った。昨年のスケッチを引っ張り出してみた。若宮大路、大船観音寺、円覚寺などが出てきた。その中に源氏池を描いたものがあった。 鶴岡八幡宮の一角にある池で8月には蓮の花が咲き誇る。池の周囲に桜が咲き、見事な柳が若葉を垂れる。大病を患ったこともないくせに、生きててよかったなぁ、なんて思ってしまうのだ。 この一枚を見ながら新たに描きだす。構図を変え、色彩を変えて。生きててよかったなぁ。
水彩 31×41cm


鎌倉朝日新聞社

鎌倉で「木」と暮らす

快適な暮らしを手に入れる4つのステップ

鎌倉の町並にあった家づくりをめざす戸井田工務店主催の連続セミナー。 4部構成で、4月から7月まで月1回、それぞれの専門家が、家づくりの基本、伝統構法、マイホーム実現計画、税対策をアドバイス。ほんの少し知識を増やすだけで暮らしが大きく変わります。 4月21日の第1部では、戸井田工務店代表取締役・戸井田晃英さんが、「世界の人を惹き付ける鎌倉」の住まい~鎌倉で快適に住む暮らしのヒント~の題でお話しします。鎌倉に住みたい、風土や気候に合った暮らしをしたい、家づくりを何から始めればよいかわからない人などにおすすめです。
4月21日(土)午前10時、鎌倉商工会議所会館(御成町)。参加無料、要事前申込(先着15人)。
申込・問合せ戸井田工務店
鎌倉市大町5―5―9
0467・24・7777
info@kamakura-standard.com



鎌倉年中行事

4月

▼若宮例祭 3日10時、鶴岡八幡宮。
▼釈迦如来立像開扉 7・8・9日極楽寺。
▼鎌倉まつり 8~16日。流鏑馬16日鶴岡八幡宮。(6面にご案内)
▼灌仏会(花祭り)
8日、各寺院。
▼忍性塔公開
8日10~16時、極楽寺。
▼丸山稲荷社例祭
9日鶴岡八幡宮。
▼義経まつり 21日、満福寺。(7面にご案内)
▼鎖大師正御影供大祭21日青蓮寺。


プロムナード

「昔はどのような人が暮らしていたんだろう」鎌倉市内を散策していると歴史ある建物に巡り合います。時をくぐり抜けた建物は想像力を掻き立てます▼鎌倉文学館などは、建物だけでなく展示まで同時に楽しめるので少しお得な気分になれますが、気になる建物の中には普段は公開されていない場所もあるようです▼毎年、鎌倉ゆかりの文士らが暮らした施設を春と秋に期間限定、入場無料で一般公開している建物もあります▼また、飛騨高山の民家を移築し手を加えた、戦前の和風文化を画す建築で、高名な作庭家による扇湖山荘の庭園も公開されます▼この春は、自然の中だけでは味わえない、鎌倉ならではの散策を楽しんでみてはいかがでしょう。(N)


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